昭和61年4刷 四六判 P592+190 函少ヤケ、時代シミ(特に天部時代シミ多) 本体表紙少スレ 天・小口汚れ
潮出版社から刊行された稲垣足穂作品集「多留保集」(本巻全8巻)の別巻として刊行された一冊。
雑誌などに寄稿した文章の再録、対談、他の文学者たちが足穂やその作品について論じる文章などを収録。
また、巻末約4分の1を占める「タルホ=セイゴオ・マニュアル」では、晩年の足穂と親交の深かった松岡正剛が、さまざまな分野の知識を引き合いに出す松岡らしい語り口で足穂を論じる。
目次:
【I タルホ拾遺】
まずこの四つ/この機会に/唯美主義の回顧 ―辻潤、谷崎潤一郎両先輩を中心として/蜷の区域/ダンセーニ卿の「酒場天国」/一女性からの書簡/酒につままれた話 ―私がいちばん飲んだ日/ウオぎらい ―わが家の夕めし/狂気か死にまで行くべし ―私の酒歴書/平和の鷹が平和の天使を悦楽の園へ導く/少年自身/最近の来信/キャプテン・カポロを送る
【II 対談】
E氏との一タ(江戸川乱歩)
祇園閑談(吉田一穂)
エロス・愛・死(瀬戸内晴美)
わが思索のあと(小潟昭夫)
男は闘うべし(平岡正明)
輪廻思想をめぐって(松山俊太郎)
われらいずこの門に立とうとも(森敦)
【III 稲垣足穂の世界】
イタガキさんとニシガキさん(伊藤整)/稲垣足穂と江戸川乱歩(宇野浩二)/悪魔学の魅力(西脇順三郎)/萩原朔太郎と稲垣足穂(江戸川乱歩)/丸山薫と衣巻省三(萩原朔太郎)/稲垣足穂と梁雅子(山本浅子)/女性より見たる「男性文学」の可能性(同上)/稲垣氏の「蘆の都」(江藤淳)/首吊り男(伊達得夫)/消えた人(同上)/異端者の系譜(塚本邦雄)/バッカスは惑星にのって(瀬戸内晴美)/稲垣足穂(三島由紀夫)/変な連想(飯沢匡 )/無限デルタの構想(宗谷真爾)/火星より土星の方が高級である(草下英明)/僕のタルホ(亀山巌)/同人スケッチ(同上)/タルホやその周辺(藤井重夫 )/美少年誘拐魔足穂大菩薩あるいはホムンクルス製造法(種村季弘/『少年愛の美学』(澁澤龍彦)/『僕のユリーカ』『東京遁走曲』(同上)/『ヒコーキ野郎たち』(同上)/奇想片々(出口裕弘)/『ヴァニラとマニラ』(同上)/聖タルホのいざない(加藤郁乎)/タルホの空(同上)/模型世界と微粒子(中村宏)/稲垣足穂をめぐって(笠井叡)/A感覚の生理構造(同上)/足穂曼荼羅(常住郷太郎)/稲垣さんと私(高橋睦郎)/『コリントン卿登場』(川仁宏)/強烈な文学的否定精神(三枝和子)/足穂空想空間の倫理性(中野美代子)/大気圏に突入する空中飛行者(田中美代子)/タルホ式飛行の夢を探る(ゆりはじめ)/〈対談〉タルホ文学の迷路(種村季弘、松山俊太郎)/酒仙作家・稲垣足穂の妻として(稲垣志代)/奇人といわれる足穂との愛情生活(同上)/酒を呪う(同上)
資料1 ※書簡・日記・作品集推薦文など (芥川龍之介、室生犀生、武田泰淳、佐藤春夫、中井英夫、五木寛之、澁澤龍彦、埴谷雄高、吉本隆明)
【IV 書き下ろし作家論】
攪乱された彗星軌道(相澤啓三)
夜毎の「蠟人形」(高柳重信)
ヒコーキの本(田中小実昌)
月への説によって結ばれた二つの精神(谷川晃一)
早大戸塚グランド坂時代(萩原幸子)
それでも飛行機は飛ぶしかしらないだろう(山野浩一)
タルホとダンセイニ(荒俣宏)
月光都市・神戸(西岡武良)
私のタルホ先生(窪田般彌)
男性のなかの男性(笠井久子)
緑星暦(斎藤慎爾)
【V 多留保集作品年表】
【VI 稲垣足穂年譜】
【VII タルホ=セイゴオ・マニュアル】(松岡正剛)