1996年 B6判 P204 カバー背ヤケ、少汚れ 天地小口少汚れ
昭和55年にニューサイエンス社から刊行された『十二支のはなし』を再編集・改題したもの。
干支の動物にちなんだ考古学上の遺物や歴史上の記録について集め、雑誌『考古学ジャーナル』および『日本歴史』の一月号に毎年掲載されていた文章をまとめる。
目次:
子(鼠) 印度の神・大黒天の神使なり
{鼠の語原/縄文時代の遺物/鼠返し/那冨山墓の隼人石/鼠と大黒天/絵巻物にあらわれた鼠}
丑(牛) 仏や神が乗り給う神使なり
{魏志に牛馬なし/古墳時代の牛/箆書の牛/祭祀遺跡から土牛/牛と祭祀/陰陽道と土牛/牛に騎った仏像・神像/関寺の牛塔}
寅(虎) 霊術を心得た山獣の君なり
{大昔には日本にもいた/虎のついた作品/その他の資料/虎ヶ石・虎石・虎塚}
卯(兎) 月宮殿に住する天王の使者なり
{兎の語源/古代の兎/最古の干支資料/日本最古の金石文/神話にあらわれた兎/兎を殺した報いの話/月と兎/兎と古画/兎の吸物}
辰(竜) 変幻自在の霊力を有する瑞兆の動物なり
{竜の図柄の鏡/竜の太刀/鮭を描く壁画/装飾古墳に描かれた青竜/都の位置を決めた四神思想/木簡の竜}
巳(蛇) 弁才天とも結びつく知恵者なり
{巳は「ヘビ」の象形文字/中部山岳に多い縄文土器の蛇/巧い銅鐸絵画の蛇/数少ない古墳時代の蛇/楯築神社の亀石/鋸歯文は蛇の鱗/蛇の民族と伝説}
午(馬) 天を駆ける神聖な動物なり
{河童の駒引き/小形だった古代の馬/埋葬された五世紀の馬/馬と古代信仰/わが国最古の絵馬}
未(羊) 性質柔順、獣類中の君子なり
{わが国上古代に羊なし/すべて輸入品の考古遺物/羊の代用として鹿/多胡碑と羊/羊の故事/羊の十徳}
申(猿) 日吉山王の化身なり
{縄文時代からある猿の像/意馬心猿/猿神の話/庚申信仰/木の葉猿}
酉(鶏) 男女の仲も鶏き声しだい
{弥生時代に渡ってきた鶏/常世の長鳴鳥/鶏の虚鳴/情事と鶏/馬に次いで多い鶏の埴輪/絵巻物の鶏}
戌(犬) 狛犬にみる霊獣守護の風習
{犬と日本人との交渉/縄文人と犬/弥生人と犬/単なる家畜ではなかった/番犬としての犬/狛犬の起源/狛犬は鎌倉時代が盛期/犬張子}
亥(猪) 勇猛の性質と豊饒のシンボル
{猪の語源/猪の効用/豊饒を祈る猪の土偶/猪と水すまし/埴輪と子持須恵器/正倉院御物中の猪/古瓦と木簡/亥の子の民俗}
あとがき