1983年 四六判 P327+索引 帯付 カバー時代シミ(内側時代シミ多) 小口ヤケ、天時代シミ多 扉・目次ページ時代シミ
“エスペランチストとして、大正時代の日本の知識人に大きな影響を与え、政府から危険人物として追放された盲目の放浪詩人の生涯。”(帯文)
“盲目の詩人として知られるヴェ・ヤ・エロシェンコは、一八九〇年ロシアのオブホーフカ村に生れた。四歳のとき、風邪がもとで肺炎を起こし、失明した。その後学校を卒えるとイギリスに渡り、次いで一九一四年に日本にわたった。日本では相馬黒光などの援助を得、詩、小説などの創作活動を行い、社会主義運動や反戦活動に積極的に参加した。また、この間エスペラシチストとして、東南アジア各地にも足を伸ばし、一九一九年にはインドで国外追放を受け再び日本に舞い戻った。
一九二一年、日本で三度目の逮捕を受け日本からも追放。その後、魯迅に招かれて北京にわたり、北京大学で教鞭をとったり演劇活動に参加。一九二三年祖国に帰った後は、盲人学校で教鞭をとるかたわら各地を旅し、創作活動に力を注いだ。一九五二年十二月、故郷南ロシアのオブホーフカ村で六十三年の生涯を終えた。
エスペランチストであり、放浪の詩人として大正期の日本の知識人に大きな影響を与えた盲目のエロシェンコの生涯を描く。 ”(カバー袖紹介文)
目次:
序論『あひるの喜劇』の実在の主人公
一 ロシヤ 一八九〇一九一四年
{初更/子供収容所/十年後のオブホーフカで/冬の物語/岐路に立って/「世界を見たいんです!」/初めての旅/イギリスに半年/エルドラードを探し求めて
二 日本 一九一四―一九一六年
{桜の枝/光の家暁民会/秋田雨雀/詩人の恋/提灯の話/旅の風}
三 東南アジア 一九一六一九一九年
{不首尾に終わったタイ旅行/理草花/「家に、新しいロシヤに帰りたい!」/窮屈な檻}
四 日本 一九一九―一九二一年
{Agbla surprizo/「私の心は、かがり火のように輝く」/「私たちは革命の真理を守ります」/逮捕}
五 沿海州 一九二一年
{二度目の追放/ゾロトーイ・ログ湾にて 77/三色旗の町/新しいロシヤの戸口で}
六 中国 一九二一―一九二三年
{放浪の半年間/北京にて/魯迅の友/『あひるの喜劇』}
七 ヨーロッパ 一九二二年、一九二三―一九二四年
{ヘルシンキにて/エスペラントの国で一年}
八 ソ連邦 一九二四―一九五二年
{苦しい帰国/今日は、フィリップ・オンクジーモフ!/宿命的な賢さ/ケイギン=『黒熊』/チュコトの牧歌/ウルス・アタ/チェス/最後の詰め}
著者から
エロシェンコの始まり
ヴェ・ヤ・エロシェンコの生涯と創作
人名索引