1988年 菊判 P213 帯付 カバー端僅イタミ 天僅汚れ
“ホームズの戦いぶりを史実から解剖、事件の真相に迫る!
一三六葉の写真・イラストで世紀末・ロンドンの情景を再現。同時代に戦い抜いた孤独な騎士・ホームズの実像を描く。ホームズ・ファンの必読書。”(帯文)
目次:
【I】不滅の名探偵登場
信仰と秩序に守られて/勤勉と道徳の国/英国紳士の理想像/大都会の隅に追いやられる貧民/植民地政策の転換/義務教育法の採択/一八七〇年代の新しい動き/最初の事件《グロリア・スコット号》
【II】『緋色の研究』を中心として
応用科学を武器とした探偵/ホームズとワトスンとの出会い/ホームズの引き立て役ワトスン/ワトスンが見たホームズの特性/犯罪小説の氾濫/奇妙な殺人事件/おそまつな警官たち/ダーウィンの「進化論」の影響/ベイカー街遊撃隊の出動/成功が唯一の報酬です
【III】名声高まる一八八〇年代のホームズの活躍
《まだらの紐》事件/語られざる事件のいくつか/《入院患者》事件/英雄ゴードン将軍/ゴードン将軍とホームズの相違点/ホームズの生活に入ってきたアメリカ/《第二の汚点》事件
【IV】新しい時代の到来の兆
皇太子自ら国法を破る事件/与えられた仕事に励まない人生/軽薄とぜいたくに終わる人生/ホームズとエドワード皇太子を結ぶ事件/《高名の依頼人》事件
【V】再び一八八〇年代のホームズについて
秘密結社との闘い/ホームズが失敗した事件/ホームズの女性観/ヴィクトリア朝の女性たち/淑女の唯一の職業 ―家庭教師/《四つの署名》事件の発生/ジャン・パウル・リヒターについて/カーライルとオスカー・ワイルド
【VI】シャーロック・ホームズのすべて
ヴィクトリア朝中期のアウトサイダー/芸術愛好家/科学の信奉者/ホームズの家系/賢兄マイクロフト/宿敵モリアーティ教授/人はむなしいもので仕事がすべて/古い美徳と闘うホームズ/モリアーティのモデルはニーチェ
【VII】一九世紀末の精神とホームズの最期
新しい時代の先どり/人を驚かせたがる傾向/攻撃的な帝国主義の時代/宿敵モリアーティとの対決
【VIII】復活後のホームズ
空白の三年間/《空家の冒険》事件/世紀末の頽廃/自転車の出現と女性の自立/宣伝の時代の幕明け/ヴィクトリア女王即位六〇年の祝典/華麗な喧騒のなかで/《踊る人形》事件/恐喝王、ミルヴァートンの事件/
《ソア橋》事件/ホームズの宗教観
【IX】二〇世紀の到来と晴耕雨読のホームズ
新しい世紀の始まり/ヴィクトリア朝からエドワード朝へ/巨額の報酬を受けとった事件/セントラル・ヒーティングのある《ショスコム荘》/ドイツ人教師の死体発見/旧世代の代弁者ホームズ/サセックスで養蜂と執筆の日々/ドイツと直接的敵対関係に入る英国/国家のためにもうひと働き/ホームズ《最後の挨拶》/ホームズは永遠に健在
図版リスト
索引
監訳者あとがき