1995年 A5判 P297 帯スレ、背ヤケ、折れ跡 カバー少汚れ、端少イタミ 天少時代シミ P90少汚れ
“新しい生命観の創造をめざして!
いわゆる“大正教養主義”の水面下には目眩めくほど多彩な思想潮流が躍動していた。哲学・科学・文学・芸術・政治・社会・宗教などあらゆる世界での創造と破壊、理想とデカダンス、霊魂とエロスの乱舞を“生命”の思想として捉え直し、混迷する現代の鏡とする瞠目のアンソロジー。”(帯文)
大正という時代を、“「生命」の語が氾濫し、「生命」がスーパー・コンセプトになっていた時代”と位置付け、哲学や芸術論、文学、スピリチュアリズム、社会運動など、さまざまな領域にその思想的傾向が波及していた事例について論考を集める。
巻頭第I部では大正時代の思想潮流および生命主義に関する総論的な文章とその筆者3名による共同討議、第II部で各論を収録し、巻末の座談会では、時代を下って1980年代における「生命主義」的な現象について意見を交わす。
目次:
「大正生命主義」とは何か(鈴木貞美)
【I 大正生命主義ど現代】
大正生命主義研究のいま(鈴木貞美)
哲学における生命主義(中村雄二郎)
大正期の宗教と生命観(山折哲雄)
共同討議 大正生命主義と現代(中村雄二郎、山折哲雄、鈴木貞美)
【II 大正生命主義の諸相】
大正生命主義、その前提・前史・前夜(鈴木貞美)
「近代スピリチュリズム」の受容 福来友吉・浅野和三郎の場合(稲垣直樹)
性愛と生命のエクリチュール(関井光男)
透谷の「生命《ライフ》」、藤村の「生命《いのち》」(紅野謙介)
藤村における生命主義と科学主義 石原純・河上肇らとの巴里村の会話(金子務)
朦朧たる時代 〈生命(ライフ)〉の哲学(永野基綱)
大杉栄再考(日高昭二)
一九一一年・〈太陽〉・らいてう誕生(岩見照代)
大正生命主義と仏教(正木晃)
夏目漱石の生命観 〈命〉から〈生命〉へ(石崎等)
女、生、文字(江中直紀)
内的生命としての自然 自然観の変容から見た大正文学の出発(中島国彦)
メーテルリンクの季節 直哉、実篤、透谷、虚子、鴎外(今村忠純)
〈円球の中心から放射する〉思想 萩原朔太郎の〈生命〉の直感的認識について(阿毛久芳)
室生犀星の「生命」 昭和文学への賜物(竹内清己)
大正生命主義と〈農〉のイメージ 福田正夫・白鳥省吾をめぐって(藤本寿彦)
民衆芸術論と生命主義 加藤一夫を中心に(大和田茂)
「いのち」の作家への道程 岡本かの子「散華抄」を中心に(漆田和代)
宮沢賢治における食と生命(鎌田東二)
日本主義者・倉田百三(百川敬仁)
【III 一九八〇年代の生命主義】
八○年代生命主義とは何であったか(森岡正博)
座談会 八〇年代生命主義の行方(森岡正博、上田紀行、戸田清、立岩真也、佐倉統、鈴木貞美)
大正生命主義年表ノート
編集を終えて(鈴木貞美)