平成7年　四六判　P739　二重函　函カバー・付録冊子付

昭和10年に松柏館書店から刊行されたオリジナル版を、当時の装幀を再現しつつ影印復刻。

“神秘極る人間惡の血を傳へた一美少年が、深夜眼ざめた幻魔に誘はれて一度ならず二度ならず類のない惨劇を演ずる。その少年が精神病科の病室に収容中、自分自身をモデルにして戦慄極る自叙小説を書き上げ、種々な精神科學の實驗を受けて想像も及ばぬ恐ろしい自分の犯罪内容を知つて行く苦しみを細かに描寫する。
《略》
此の少年の惡血を掻き立てた背後の怪人物は誰か、また神秘を極めたこの變態的惡血とは何を意味するのか、それに絡まる二人の天才的醫學者の學問敵興味と戀愛のもつれ、葛藤は葛藤を生み、迷宮は迷宮に重なって、推理とか想像を超越したその構想は、いつしか讀者を一種異様な幻覺錯覺に捲きこんでしまふ。…”（内函裏「梗概」より）