昭和43年初版 A5判 P197+巻頭口絵P16 函少汚れ、背および天部ヤケ、角僅イタミ 小口少汚れ 扉ページ時代シミ、蔵書印
日本における妖怪的なモノのイメージの原型にはじまり、王朝時代の怨霊、近世の文芸作品、芝居、絵画、その他の記録などに登場する各種妖怪、近現代における諸相や映画に登場する化物など……、幅広い分野から「妖怪」を論ずる。
これまでに増補改訂版や新装版など、たびたび復刊されてきた著述であるが、本書はそのオリジナル版・初版。
目次:
第一章 日本的怪物の原型
おばけ {おばけの種類}
死せず、かくれるのみ {自然=変化の恐怖}
ぬし {主(ぬし)の伝説}
死者の容姿
亡者と鬼 {悪魔の定型}
つきもの
第二章 王朝時代の怨霊たち
魂は宙を飛ぶ
たまよばい {霊異出現…道真の復讐…将門と崇徳院}
百鬼夜行 {変化の原理…異名としての鬼…怪盗伝説…鬼=悪党の論理}
金毛九尾 {魔性への転生…道成寺伝説の情念…野狐禅の変形…善意畜交譚…妖獣の邪念/「九尾の狐」のロマン…化生・玉藻・狐}
さむらいは強い {説話の中の武勇}
晴明と小角 {陰陽道の思想…妖怪“識神”…使役される識鬼}
血のあけぼの {武者亡霊の雄姿}
第三章 妖怪紳士録
空想の復讐
「いわ」と「かさね」と「きく」 {幽霊発生の基盤…女と怨念…実説四谷怪談…不可解な成功…戸板返しの秘密…講談・四谷怪談…岩と累の違い…累解脱…皿屋敷…その他の女性群…男の幽霊…牡丹灯記}
足と柳 {「応挙」幽霊…鳥山石燕の「型」…死霊の条件…幽霊の周辺…うぶめ}
完成された妖怪たち {おに…天狗…河童…人魚…海坊主…雷獣…ももんがあ…ろくろっ首…のっぺらぼう…小僧と入道…からかさの一本足…きつね…狸・貉…ねこ…鼬・貂・貒…おおかみ…獺・河獺…蜘蛛…へび…守宮・井守…なまず}
おばけは楽し {ばけものの風化…怪異の市民権}
再び血のあけぼの {近代皇室の呪い…田中河内之介…坂本竜馬の幽霊}
第四章 現代と妖怪・幽霊
しんけいびょう {否定される幽霊}
幽霊の復活 {死霊説と生霊説}
郷愁の美学 {鏡花と綺堂…構想の合理化へ}
見たよ見ましたネオンの蔭で {筆者の周囲にも}
幽霊無差別
ゴジラは誇る
さらば善き霊よ
あとがき