
1998年 A5判 P355 帯付 カバーごく僅イタミ 表紙下端少凹み 天地小口僅汚れ
“死せる父祖の復活、不死の獲得、自然・身体・宇宙の科学的統御…
厖大な百科全書敵知識に基づいた、宗教的かつ科学的な夢想的理念によって、ドストエフスキー、トルストイ、プラトーノフらにも多大なイマジネーションを与えた、19世紀末ロシアの〈幻の思想家〉ニコライ・フョードロフ。
再評価の進むロシア思想のなかでも、もっともラディカルなその思想と、ユニークな生涯の全貌を明らかにする、本格的評伝!”(帯文)
目次:
はじめに
【I 人物と生涯】
モスクワ以前
{出自/幼年から青年時代、そして修学の月日/第二の誕生/教師時代}
伝説的な司書
{チェルトコーフ図書館/ルミャンツェフ博物館}
モスクワのソクラテス
{生活様式と個性/重要な主題と事業/フョードロフと同時代人/旅路の果て}
【教義】
《共同事業》の教義の哲学的前提
{人間の根源的悪/自然の存在方法/存在論的ヴィジョン/特殊な光学/世界の非血縁性/人間学}
自然統御
{自然の蒙昧な歩みを理性的な歩みに変えること/人間の「地上での幽閉」からの脱出/「われわれの身体はわれわれの事業となる」/新しい科学}
祖先の復活
{内在的復活の理念/債務の返済および最高の道徳としての復活事業/復活の方法/人間と世界の変容}
フョードロフの教義の宗教的象徴的層
{「真の理性」に到達した信仰/哲学的思索の一ジャンルとしての、言葉によるイコン/祖先崇拝から「共同事業」の宗教へ}
歴史の始まりと終わり
{「無学な者」の視点による歴史/ダニレフスキーとフョードロフ/国家、専制/祖国研究、博物館}
芸術の意味と使命
{二つの理念―文化という理念と生活の変容という理念/諸芸術の最高の総合―聖堂/コペルニクス的芸術―世界のリアルな建築}
【理念の運命】
フョードロフと二十世紀ロシア文学
{ブリューソフ、二〇年代の詩人たち、ゴーリキー/プラトーノフ}
原註
訳註
フョードロフ思想の可能性