2003年3刷 A5判 P385 カバー僅スレ、端僅イタミ
“ 《本書は、一九二〇年代末、スターリニズムが確立してゆく過程で、ロシア・アヴァンギャルドの芸術運動が厳しく統制され、フォルマリストたちが転向か沈黙を余儀なくされてゆくという不幸な時代に行き逢わせたために、それが受けるにふさわしいと思われる処遇や評価にめぐまれず、時代の知的関心の周辺部に、というよりその外に放置され、国境の外でもなんら反響を呼び起こさぬまま、ほぼ完全に忘れ去られて眠り続けた後、突如、五〇年代末に、国境の外(アメリカ)で、レヴィ=ストロースの神話理論に関連して思い出されて復活し、またたく間に数カ国語に反訳されただけてはなく、六〇年代の半ばには、「説話学」なる学際的な分野―記号論が文化の学として確立される上で、確かな拠りどころとして、かなり大きな役割を果たした分野―が成立する際に、その始祖となる(しかも、以後今日まで、その影響力を失っていない)―という具合に、かなり劇的といってもいい運命を経験してきた書である。》(北岡誠司)
文を超えたテクストのレベルにおける《文法》の探究の最初の試みとして、民話・神話・物語等の記号論的研究において、今や、構造言語学におけるソシュール『講義』にも比すべき位置をもつ記号学の第一の古典。”(カバー裏紹介文)
目次:
【第一部 方法と一般的結論】
序
I章 問題の歴史
II章 方法と資料
III章 登場人物の機能
IV章 同化〔同形異義〕とひとつの機能〔行為〕が二重の形態学上の意味をもつ場合〔多義性〕
V章 昔話の若干の他の要素
VI章 人物への機能の割り振り
VII章 新たな人物を出来事の展開のうちに導入する仕方
VIII章 登場人物の属性と属性の意義
IV章 纏りのある全体としての昔話
結び
原註及び訳註
【第二部 分析の実例】
I章 八つの類型
「隠者のフロールカ」(一三一)
「小鳥の言葉」(二四七)
「不思議な笛」(二四四)
「バカチガローシコ」(一三三)
「イワン・スウチェンコとピェールイ・ボリヤーニン」(一三九)
「王子とその傳育官」(一二三)
「足のない勇士と目のない勇士」(一九八)
「双児のイワン兵士の息子」(一五五)
II章 〔四十五話の〕図式と註釈
「魔女と太陽の姉」(九三)
「麗わしのヴァシリーサ」(一〇四)
「商人の娘と小間使」(一二七)
「バトラーク〔奉公人〕」(一五〇)
「マーリヤ・モレーヴナ」(一五九)
【付録】
I 昔話を一覧表化するための資料
II 略語〔記号〕の一覧表
III 革命前に出たアファナーシエフの昔話集の話の番号と、革命後に出たその新版の話の番号との比較対照表〔及び、邦訳されている話の題名との関連づけ〕
解説
あとがき