2001年　A５判　P543　帯付　カバー僅スレ、端僅イタミ

“テクストはいかにして書物となるのか
作者名、タイトル、序文、レイアウト……テクストを包みつつあらわにし、書物として経験させる、テクストの衣服ともいうべき、これら言語的・非言語的装置＝《パラテクスト》。
『アルシテクスト序説』、『パランプセスト』に続き、超テクスト性考察の掉尾を飾る、文学研究の碩学による渾身の大作。”（帯文）

“テクストを文学作品たらしめ、テクストの存在と受容・消費を「書物」という形で保証するこれら「パラテクスト」の意味と機能を探求する、文学研究において、いまだ手つかずの「大陸」に踏み込んだ、記念碑的大著。”（宣伝文より）

“……つまりパラテクストとは、まさにある種の語用論および戦略の特権的な場、テクストのより正しい受容とより妥当な読みのために大衆に働きかける特権的な場なのである……
ここでひとつだけ実例を挙げて問題の核心を示すには、ある無邪気な問いかけだけで十分であろう。
すなわち、どう読むべきかの手掛かりがまったくないままにジョイスの『ユリシーズ』のテクストのみを与えられた場合、かりに『ユリシーズ』というタイトルが付けられていないとしたら、われわれはそのテクストをどう読むであろうか。―G・G
タイトル、作者名、序文、注、エピグラフ、インタビューなど、テクストにともない、テクストを文学作品たら
しめる《パラテクスト》。このテクストの周縁地帯こそ、世界におけるテクストの存在とその受容・消費を、「書物」という形で保証するものにほかならない。
本書は、あらゆる種類とあらゆる時代の言説および実践の繁茂するこの領域に理論化の契機をもたらすべく、文学研究においていまだ手つかずの「大陸」に果敢に踏み込んだジュネットの記念碑的大著である。”（カバー裏紹介文）

目次：
序論
第一章　刊行者によるペリテクスト
　｛判型／叢書／表紙と付属物／扉と付属物／組版、印刷｝
第二章　作者名
　｛場所／実名／匿名／変名｝
第三章　タイトル
　｛定義／場所／時期／送り手／受け手／機能／指名／テーマ的タイトル／レーマ的タイトル／共示／誘惑／ジャンルの指示｝
第四章　紹介寸評
　｛四つの段階／派生物と付属物｝
第五章　献辞
　｛作品の献辞／場所／時期／作品の献辞の送り手／作品の献辞の受け手／機能／書物の献辞／場所、時期／書物の献辞の送り手、受け手／機能｝
第六章　エピグラフ
　｛歴史的概観／場所、時期／エピグラフ原作者／エピグラフ実行者／エピグラフ受容者／機能｝
第七章　序文の審級
　｛定義／前史／形式／場所／時期／送り手／受け手｝
第八章　オリジナルな序文の機能
　｛理由のテーマ／重要性／新しさ、伝統／統一／真実性／避雷針／方法のテーマ／生成／大衆の選択／タイトルに関する注釈／虚構の契約／読みの順序／コンテクストの指示／意図の表明／ジャンルの定義／身をかわすこと｝
第九章　その他の序文
　｛後書／事後の序文／遅延的序文／他者による序文／登場人物による序文／虚構的序文／作者による否認の序文／架空の作者による序文／架空の他者による序文／架空の登場人物による序文／鏡｝
第十章　内題
　｛不在の場合／存在の度合／物語的虚構／歴史／教訓的テクスト／集成本／目次、ランニングタイトル｝
第十一章　注
　｛定義、場所、時期／送り手、受け手／機能／論説的テクスト―オリジナルな注／論説的テクスト―事後の注／論説的テクスト―遅延的な注／虚構のテクスト／他者による注／登場人物による注／虚構的な注｝
第十二章　公的エピテクスト
　｛定義／刊行者によるエピテクスト／他者による非公式のエピテクスト／作者による公的エピテクスト／公的反論／媒介／インタビュー／対談／シンポジウム、討議／遅延的な自己注釈｝
第十三章　私的エピテクスト
　｛書簡／口頭の打ち明け話／日記／先行テクスト｝
結論

原注
訳注
索引
訳者あとがき