日本巫女史 中山太郎 大岡山書店

昭和5年 菊判 P743 函欠裸本 全体に経年によるヤケ、時代シミ、汚れ 

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昭和5年 菊判 P743 函欠裸本 全体に経年によるヤケ、時代シミ、汚れ 

旧字旧かな遣い

宮中および各地の名神・大社に附属する「神和《かんなぎ》系の巫女」、あるいは町村に土着あるいは各地を漂泊する「口寄系の巫女」といった広義の巫女をともにとりあげ、原初的な信仰から神道・仏教・道教といった宗教の影響、社会的な地位や役割の変遷およびその時代背景、さまざまな呪法、売笑や憑き物との関係、明治以降の有様と困窮・差別といった問題など……、広範な史料調査をもとに古代から近代までの歴史と折々の諸相を探り推論も交えて俯瞰した大著。

“……巫女史が、巫女の生活の歴史である以上は、これに伴ふ全般の研究が内容として盛られなければならぬのは、改めて言ふをたぬ。而して、その内容は、巫女の発生、巫女の種類、巫女の階級、巫女の用ゐた呪術の方法と、その種類、巫女の師承調係、巫女が呪術を営むより生ずる性格の転換、巫女と戦争、巫女と狩猟、巫女と農耕、巫女に限られた相続制度、及び巫女の社会的の地位等を重なる問題とし、更にこれ等に伴ふ幾多の問題を出来るだけ網羅して、これを各時代における信仰の消長、政治の降替、経済の起伏、及び社会事情の推移等を基調として、その変遷を討尋するのであるから、類る複難を極めてゐるのである。……”(本書「総論 第一章第二節」より)

目次:
巻頭小言

【総論】
第一章 巫女史の本質と学問上の位置
 第一節 巫女の種類と其の名称 {巫女の二大分類―第一は神和系に属する神子の名称―古今に渉り約二十六―口寄系に属する市子の俚称―各地に亘り約四十三―まだ此の外にも十数種ある}
 第二節 巫女史の意義と他の学問との関係 {巫女史の研究は他の多くの学問に交渉を有つ―巫女史といふ名称に就いて―巫女史の内容とその範囲―巫女史と政治史との関係―巫女史と祭祀史との関係―巫女史と呪術史との関係―巫女史と文学史との関係―巫女史と経済史との関係―巫女史と売笑史との関係―巫女史と法制史との関係―巫女史と原始神道史との関係その他}
 第三節 巫女史の学問上に於ける位置 {文化史に於ける巫女史の地位―原始神道に於ける巫女史の地位―民俗学に於ける巫女史の地位}

第二章 巫女史の研究方法
 {史料は出来るだけ多く蒐集―史料は厳重に批判して探択―史料の整理と其の解釈―史料の分類上の注意―史論の構成と其の表現法}

第三章 日本巫女史学の沿革と其の史料
 {記紀の神典に巫女の名は見えぬ―併し巫女その者は存在した―古語拾遺に現はれた片巫と肱巫―黎明期に於ける巫女史学の概観―室町期に於ける巫女史学の概観―江戸期に於ける巫女史学の概観―明治期に於ける巫女史学の概観}

第四章 巫女史の材料と其の採集方法
 第一節 巫女の遺跡的材料 {集団生活地たる巫女村―信州の彌津村は日本一―大阪の天王寺と江戸の亀井戸―巫女が開拓した村落―これも決して尠くない―巫女関係の神社と寺院―巫女の化石伝説}
 第二節 巫女の遺物的材料 {巫女の使用した遺物―外法箱と梓弓―イラタ力の珠数―巫女に関する墓碑―常人と異る法名―巫女の呪言を留めた蓄音器のレコード}
 第三節 巫女の記録的材料 {直接的と間接的との史料―巫女に関する雑誌と新聞の記事―未見会識の学友から集めた資料―持つべき者は友人だ}
 第四節 巫女に関する慣習的材料 {巫女自身に関する慣習―女性は霊媒者たる素質を有す―盲女と巫術―女
子相続制の起源―巫女の性的方面に関する慣習―巫女は神と結婚するのが原則―隨つて良人は持てぬ筈―神寵の衰へた女と売笑行為―我国の性的職業婦人は巫娼に始まる―社会の巫女に対する慣習―巫女の恐れられた三つの理由}

第五章 巫女史の補助学科と其の態度
 {巫女史は文化史の一分科―巫女史と言語学―巫女史と古文書学―巫女史と考古学―巫女史と民俗学―巫女史と民間伝承学}

第六章 日本巫女史の時代区分法
 {時代によつて区分するか―職程によつて区分するか―地方によつて区分するか―新たに試みた区分法―固有呪法時代―神代より応神朝に至る―習合呪法時代―仁徳朝より正親町朝に至る―退化呪法時代―正親町朝より昭和の現代に至る}

【第一篇 固有呪法時代】
第一章 原始神道に於ける巫女の位置
 第一節 我国に於ける神の発生と巫女 {神の始めの相はデーモン―病魔から死魔へ―諾尊の神業と呪術―呪 物が示した古代の食料―デーモンからスピリットへの過程―神聖観念としての我国の稜威―個人的精霊から社会的の神への発達―その中間の部族の守護神―我が古代の社会は呪術集団が単位である}
 第二節 我国に於ける巫女の発生 {我国の呪術先行論と宗教先行論―呪術よりは宗教的意識が先きに在る―巫女の始めは菊理媛命―家族的巫女と職業的巫女―オナリは家族的巫女―古代のの女性は悉く巫女的生活を営む―琉球に残りしオナリ神信仰}
 第三節 巫女教としての原始神道 {原始神道とシャーマン教―山路愛山氏の卓見―併し原始神道はシャ-マン教 その儘ではない―古神道に現はれた国民性―祖先崇拝と神の御杖代}
 第四節 原始神道及び古代社会と巫女と の関係 {魏志の倭人伝に載せた卑弥呼―卑弥呼は和媛か神功皇后か―それよりは更に古代の女酋―倭人国に於ける主権者と巫女との関係―祭政一致の標本である}
 第五節 古代人の死後生活観と巫女の霊魂観 {霊魂不滅は古代からの信仰―霊と肉との二元観―荒魂、和魂、幸魂、奇魂―是等に対する先覚の研究と私見―巫女の生口と荒魂―同じ死口と和魂―巫女の神口と幸奇の二魂}

第二章 巫女の呪術の目的と憑き神
 第一節 巫女の行ひし呪術の目的と種類 {巫女の呪術の目的―第一は自然を制禦し又は支配すること―第二は神又は精霊を善用し悪用し又は征服すること―第三は霊魂を鎮め又は和めること―第四は未来を洞察して招福除災すること―此の目的を遂行するための諸種の呪術}
 第二節 巫女の有せる憑き神 {憑き神は呪術の原動力―民俗学的に見た我国の神々の発達―氏神から国家神―壱岐に残つたヤボサ信仰―ヤボサは墓地―墓の土が呪力の源泉―尾先狐も犬神も元は巫女の憑き神}

第三章 巫女の用ゐし呪言と呪文
 第一節 古代人の言霊信仰と其の過程 {呪言と呪文との区別―言語の有した威力―言語のタブーと忌詞―善言と悪言―寿辞と凶辞―言霊の幸ふ国―言霊膠の正体}
 第二節 祝詞の呪術的分子と呪言の種類 {祝詞の本質は呪文―祝言から祝詞へ―呪言より呪文へ―トゴビ―ノロヒ―カジリ―ワケヒ―オヨヅレゴト}
 第三節 言霊の神格化と巫女の位置 {我国最古の呪術は太占―太占と巫女―太詔戸命は言霊の神格化―天津祝詞の太詔詞とは何か―これに関する先覚の研究―類聚神祇本源に載せた太詔詞の解釈―太詔詞は呪文に外ならぬ―太詔戸命と亀津比女命との関係―亀津比女は即ち巫女である}
第四節 託宣と祝詞と巫女の関係 {祝詞の発生は神から人への宣命―それが今では反対に人から神への願文―祝詞は即ち詔命―祝詞と宣命と託宣との関係―神語は託宣―後世まで残つた返し祝詞の意義}

第四章 巫女の呪術に用ゐし材料
 第一節 呪術の材料としての飲食物 {米と水―塩と川菜―酒も飴も蒜も蓬も―追儺の豆もそれである}
 第二節 呪術のために発達した器具 {玉と鏡―剣と比礼―櫛もそれである―幡や幟や幣は言ふまでも無い}
 第三節 呪術に用ゐし排泄物 {血液と唾液―尿と糞―是等の物は今に呪力ありと信ぜらる―民俗の永遠性を 考へよ}
 第四節 呪術用の有機物と無機物 {笹葉と賢木―欅の木と葦―しゝとミコドリ―鵜と蟹―石と土―灰も又呪カがあつた}

第五章 巫女の作法と呪術の種類
 第一節 巫女の呪術的作法 {種々なる作法も今は伝はらぬ―その中で逆手を打つこと―跳躍することだけは明白に知られる}
 第二節 顕神明之憑談としての呪術 {天磐戸前の鈿女命の動作―双女として最古の記録―神遊びとは何か―天照神の磐戸隠の真相―死者の面を見ては遊ぶ民俗―あな面白の語義は即ちこれ}
 第三節 鎮魂祭に現はれたる呪術 {生魂に対する鎮魂祭―死霊に対する鎮魂祭―猨女君の伝統―と比自岐和気の関係―鎮魂祭に唱へる呪文―平田翁の宮比神伝記と翁一流の解釈}
 第四節 憑るべの水系の呪術 {木の有てる神秘―久延毘古の神と観水呪術―日鳥庫吉の卓説―憑るべの水とは何か―神功皇后の観水呪術―観水呪術から水晶呪術へ南宮神社の剣珠と神功皇后―水鏡天神の由来―小野小町の委見池と和泉式部の化粧水の考証―熱田神宮の揚貴妃の正体―菖蒲前も又巫女である―九州に残つた巫女の水占ひ}
 第五節 性器を利用した呪術 {我国の性器崇拝は時代から―天鈿女命先づ其の範を示す―古語拾遺に載せたオバセカタ―祭式舞踊に現はれた性器崇拜の俗信―陰毛の長い神と生命の指標としての毛髮}

第六章 巫女の性格変換と其の生活
 第一節 神人生活と性格の変換 {巫女は独身を原則とする―卑弥呼に夫婚なきも是れが為め―伊勢神宮の子良と母良―鹿島神宮の御物忌―竹野社の斎女―白羽の矢の原義は何か}
 第二節 人身御供となつた巫女 {人身御供は何故に女性に限るか―人身御供は考古学的にも証明出来る―巫女が人身御供になる理由と其の例証―機織池伝説の由来と巫女―オサメといふは巫女の名}
 第三節 巫女の私生活は判然せぬ {古代の巫女の修行や師承関係や収入などは一切判然せぬ―勿論これは著者の寡聞の罪だが致し方がない―神社附属の神子と村落に土着した市子―詳細の研究は後賢に俟つ}

第七章 精神文化に於ける巫女の職務
 第一節 神その者としての巫女 {巫女の発生はオナリ神―オナリは神その者である―天照神の民俗学的研究は無条件では許されぬ―琉球久高島のノロの神としての生活―折口信夫氏の記事により卑弥呼の再吟味―民族国家の成立と巫女の関係―古代の家族相婚と同胞の位置―妻のことを吾妹子といふ理由}
 第二節 司祭者としての巫女 {神々の向上と巫女の退化―巫女は神託を宣べるときだけが神となる―墓前祭と巫女の職務―巫祝をハフリと称する原義―屍体を屠るは巫女の役目―ハフリは屠りに外ならぬ―内地の支解分葬の実例とアイヌ族のウフイ―夢によつれ知つた霊魂の所在―瓢型墳の由来と瓢を魂の容れ物とした俗信―霊魂の神への発達と巫女―人家七世にして神を生ずる事―土佐で行はれたタテ食への神事―我国の紋章の起原とアイヌの神標―人が神となつたことを知る民俗―琉球に存したマブイワカシと内地の口寄せ―社前祭と巫女の職務―巫女が軽視されて覡男が重用された過程}
 第三節 霊媒者としての巫女 {神を招き降ろす方法―日本紀に現はれた神功皇后の御事蹟―征韓のために神意を問はれた作法―神主の古い意味―神主は直ちに神実である―信州諏訪社の大祝―出雲大社の国造―琴と鈴の音は神の声―神依板は琴の代用品―審神とは後世の巫女の問口―我国最古の神降ろしの祝歌―託宣は韻文的の律語で表現される}
 第四節 豫言者としての巫女 {豫言は巫女の重要なる職務―狭義には神が憑つてする豫言―広義には他人の歌謠や行動を見聞してやる豫言―崇神紀に載せた百襲姫命の御事}
 第五節 文学の母胎としての巫女 {和歌は天にしては下照姫に始まると貫之が言ふたが―その下照姫は巫女であつた―我国の文学は巫女が開祖―神託は古く歌謠体であつた―その例証は沢山に残されている―叙事詩の古いものが一人称である理由―即ち神として宣べたからである―アイヌのユカラでも琉球のオモロでも同じである}
 第六節 民俗芸術者としての巫女 {舞踊者としての巫女―俳優の初めは鈿女命の所作に始まる―ワザオキの神事上の意義―木偶遣ひとしての巫女―肥前風土記に見えた人形―巫女の外法箱に秘めた人形―黥面文身の施術者としての巫女―神の名によつて行はれた民俗}

第八章 物質文化に於ける巫女の職務
 第一節 戦争における巫女 {アイヌ族も戦争には女が従う―琉球には女は戦の魁といふ諺がある―内地でも戦争に巫女は附きもの―物部氏と巫女との関係―武士をモノゝフと云ふ原義と物識りの由来―戦争の前途を占ふ巫女―敵兵を呪咀する巫女―士気を鼓舞する巫女―武力の戦ひの先に呪力の戦ひ―御陣女臈としての巫女―桂姫の陣中における任務}
 第二節 狩猟における巫女 {我国にも狩猟時代はあつた―民間信仰 の山ノ神の正体―三 河に残るシヤチナンヂは女神で狩人の守護神―琉球に在るウンジャミ祭と巫女―鹿待つ君が斎ひ妻―動物に扮する踊りの起原} 第 三節 農業における巫女 {穀神を殺した古代人の信仰―豊宇賀能売命は巫女か―穀神へ人身御供を捧げる―オナリとしての奇稲田媛―原始農業と女子の位置―農業の神事とトツギ祭―穀神の犠牲となるオナリ―穀神に対する古代人の態度―オナリと嫁殺し田の関係―田植に行ふ泥かけの意義}
 第四節 医術者としての巫女 {我国のクスリの語原と巫女―呪術による医療と薬剤を用ゐる医療―身体を刺傷する医療的呪術―物件を封結する医療的呪術―病魔を驚圧する医療的呪術―神霊の力で病魔を駆除する呪術―供物を薬用とした医療的呪術―薬剤を用ゐた医療的呪}
 第五節 収税者としての巫女 {男の弓端の調と女の手末の調未―ヌサの起原は納税―ミテグラも又それである―巫女の収税は神へのヰヤジリの名で行はれた―荷前の制度と収税}
 第六節 航海の守護者としての巫女 {持蓑と婦人との関係―焼火明神の由来と巫女―船霊信仰と巫女―水市社前に売卜の巫女}

【第二篇 習合呪法時代】
第一章 神道に習合せる道仏二教
 第一節 巫女の呪術に現はれたる道教の影響 {日韓は同祖であり同域である―日支の交通も太古から―姓氏録に載せた夥しき蕃別―古神道に織り込まれた支那上代の信仰―道教思想に養はれた呪術―仁徳紀に見えた招魂の記事―巫蠱の輸入と呪術の深刻化―巫女の呪具と道教の影響―巫女の梓弓は外来の呪法―人骨を用ゐるは巫蠱の思想―複雑せる識神の正体―巫女の間に行はれた湯立}
 第二節 巫道に影響した仏法の教相と事相 {奈良朝の本地垂跡説―平安朝の神仏一如の信仰―法師巫といふ巫仏一体の者現はる―巫道に交渉深い台宗と密宗―仏教の促成せる巫女の二潮流―霊魂観の進歩と口寄せ呪術の発達―養老令に見えた僧尼の禁巫―巫女の守護神から帰依仏への過程―後ろ仏とは何か―我国における十三仏の考覈―巫女の縛と不動のから縛―シャーマンの呪法に似通ふ―仏の供養を巫女が営む―奥州の三崎はなしの民俗―巫女の呪具に現はれたる仏教的要素―イラタ力の数珠と数珠占―ミコ鳥と時鳥の習合―地蔵経は我国の偽作}

第二章 修験道 の発達と巫道との関係
 第一節 憑り祈祷に現はれた両社の交渉 {修験道の一枚招牌の憑り祈祷―護法実と護法附―岩代の火祭と石見の託舞―護因坊とは何か―山伏の憑り祈祷は巫女から学んだか}
 第二節 神降の呪文に見えた両社の交渉 {憑り尸と葦毛の駒―年中行事秘抄に載せた呪歌―固定した後世の神降しの呪文―呪文は神仏道三つの寄合所帯―山伏に征服された巫女}
 第三節 修験道から学んだ巫女の偶像崇拝 {巫女は偶像を持たぬが原則―巫女の始めは神その者であつた―人形を持つのは神裔の標識―それが後には偶像を持つ―高野聖の笈と巫女の外法箱の交渉}
 第四節 生活の機構が導いた両者の性的結合 {巫女と山伏の信仰生活の共通点―両者とも同じやうな漂泊者―殊に両者とも性行為には世間を兼ねる―同気は相求め同病は相憐む理法―山伏の妻は概して巫女}

第三章 巫女の信仰的生活と性的生活
 第一節 女を中心として見たる神々の起伏 {琉球神のイベ名の研究―ノロは神の名を創作する―我が内地には斯かる事はないか―琉球における神の高下とノロの関係―八幡神は我国第一の託宣好き―奈良の手向山八幡宮の縁起―地方から全国神へ}
 第二節 巫女神信仰の由来 と巫女の位置 {神名帳に現はれた巫女神―同帳に載せた御子神―御子神と若宮との関係―合理化さうとする若宮出現の解釈―鹿島神三 十余裔の御子神を如何にする―神母と巫女}
 第三節 社会相に現はれたる巫女の勢力 {新知識の山上憶良と巫祝―大政治家吉備真備と巫覡―政治方面における巫女の勢力―軍事方面における巫女の勢力―信仰方面における巫女の勢力―桓武帝の崩御を予言した巫女―鬼道を悦んだ民間の帰趨}
 第四節 巫女を通じて行はれた神の淨化 {上代における神と仏の歩み合ひ―超道徳的であつた我国の神々―それが道徳的に浄化された過程と仏教の関係―その浄化の役目を勤めたのが巫女―これが日本霊異記以来の伝統的の運動}
 第五節 神妻より巫娼への過程 {一 夜妻の正体―祭礼の夜だけ神に占められる家族的巫女―一時女臈と一夜官女―琉球のイザイホウと称する処女の試験法―筑摩の鍋被り祭も元はこれ―民間伝承に残った西行橋の由来―巫娼の宗家であつた猨女君―浮世の果は皆小町の采女達―乙女は悉く娼婦たりし民俗―琉球に残存せる巫娼の伝説と事実―神社中心に発達し遊廓―神社の祭礼に遊女の参加する理由―神に祭られた巫娼と遊女―此の遺風は熊野比丘尼に残る}
 第六節 采女制度の崩壤と巫女の墮落 {藤原氏の放漫制作と釆女の廃止―支配階級の放縦と民衆の困憊―国造と神主の漁色と制禁―巫女の墮落と巫部連の改姓問題―巫女漸く社会から軽視さる}
 第七節 女系相続制と巫女墮落の関係 {巫女墮落の四原因―時勢と環境とが淫靡であつたこと―巫女の信仰が衰へたこと―給分を失ひ収入の減じたこと―女系相続を強ひられたこと―独身を原則とした巫女には子の無い筈―姪に讓る掛馬式の相続法―神に占められる為めに親子の縁切り―童貞受胎の真相は是れ―亭主は有れども無きが如し―巫女の性生活が一番厄介な問題である}

第四章 巫女の漂泊生活と其の足跡
 第一節 熊野信仰 の隆替と巫道への影響 {海内の信仰を集めた熊野神―今に残る蟻の熊野参りの俚諺―熊野神が民間信仰を集めた理由―馴子舞の藤に隠れた熊野巫女の活躍―絵解き比丘尼から売り比丘尼へ―全国の津々浦々まで足跡を印す―女ならでは夜の明けぬ国}
 第二節 笈伝説に隠れた巫女の漂泊と土着 {神体が遽に重くなる―民間に今も行はれるおもかるさん―力学では説明の出来ぬ問題―神の啓示と巫女の土着―巫女が草分した二三の村落―飛騨の牛蒡種もその一例}
 第三節 漂泊巫女の代表的人物八百比丘尼 {正体の知れぬ八百比丘尼の解剖―林道春の白比丘尼がそれ―室町期に大成された巫女の長寿伝説―足跡天下に普き不思議の人物―手に持つた椿は巫女の標識―白比丘尼とはシラ比丘尼なり}

第五章 呪術方面に現はれた巫道の新義
 第一節 巫蠱から学んだ憑き物の考察 {憑き物と物持筋―オサキ狐クダ狐ジン狐など―狐崇拝と咤吉尼の邪法―蛇神託とトウビヤウ―トウビヤウは蛇か狐か所で違ふ―犬神と猫神と狸神―一向宗のオシロ灰―本願寺も飛んだ迷惑―牛蒡種と吸ひ葛―巫女が恐れられた理由―捜神記と我国の憑き物}
 第二節 奧州に残存せるオシラ神の考察 {民俗学界の久しい宿題―オシラ神に関する伝説―オシラ神の神体と装束―オシラ神の語原と其の分布―オシラに就いての五説―オシラ神は古く全国的に存してゐた―オシラ神のアイヌ説は考へもの―オシラ神は呢呪ではない}
 第三節 性器利用の呪術と巫女の異相 {原始的な毛髪信仰―陰毛の持てる呪力―藤原道長も是れには驚く―各地に存した七難の揃毛―陰毛の長かつた水主明神―仁王信仰と七難即滅の思想―異相は常に神秘を伴ふ}
 第四節 巫女の間に用ゐられた隠語 {隠語は流派で異ると思ふが判然せぬ―二三の文献に見えた隠語―巫女は必 隠語を用ゐる―是等の隠語の工夫された時代}

第六章 巫女の社会的地位と其の生活
 第一節 歌舞音楽の保存者としての巫女 {歌占の発達と采女の詩人的要素―平家物語と安居院神道集―謡曲の題材となつた歌―複雑せる采女と傀儡女との交渉―新猿楽記の一節―巫女と遊女と傀儡女とは異称一体―巫女の手から鼓を奪つた遊女―足柄の神歌と遊女}
 第二節 巫女の給分と其の風俗 {神和系の神子の収入は判然するも―口寄系の市子は皆目知れぬ―延喜式に見えた御巫の給分―神鳳抄に載せた子良の糧料―定期の給分よりは臨時の収入が多い―大社附属の神子の生活は裕福であつた―鹿島宮の物忌が田一町の寄進―小社の神子は米塩にも事欠く―吾妻鏡に見えた神子所領の条々―巫女の風俗と放ち髪の自由}
 第三節 巫女の流せる弊害と其の禁断 {皇極紀に記した巫覡の詐謀―奈良朝における妖巫の跋扈―私教類聚に見えた詐巫の弊害―平安朝には禁巫の法令頻りに降る―野火焼いて尽きず春風吹いて又生ず―巫女の根絶せぬ理由―鎌倉期以降は為政者も遂に匙を投ず}

【第三篇 退化呪法時代】
第一章 巫道を退化させた当代の世相
 第一節 巫女の流派と是れに対する官憲の態度 {我国の迷信は宝町期に集成さる―日本迷信史における黄金時代―江戸期と重刑主義―巫女の流派も混糅されて判然せぬ―紀州熊野系と加賀白山系―丹後に残る梓巫女開祖の伝説―僧寛印のローマンス―武田信玄と甲信二国の神子頭千代女房―戦国の武将は迷信が強い―吉田家支配の神子の特権―山内一豊と神子の取締}
 第二節 関東の市子頭田村家の消長 {田村八太夫の出自―信用出来ぬ同家の系図―田村家の由来と神事舞太夫―習合神道と舞太夫の関係―田村家の市子取締とその呪法―市子の修業法と田村家の収入―明治維新と田村家の退転}
 第三節 当山派の修験巫女と吉田家との訴訟 {江戸期における市子の所属―田村八太夫支配の者―当山修験派支配の者―信州彌津村の者―奧州のイタコ系の者―此の外に所属不明の者―所属の相違は利害の相違―意外に複雑してゐる市子の所属―訴訟も収入の関係から―修験派の勝利となる}

第二章 当代に於ける巫女と其の呪法
 第一節 文献に現はれたる各地の巫女と其の呪法 {巫女の堕落と異流淙合―体系を立てることは困難―巫女の持つた人形の二種―外法頭を持つた巫女―人形を持つた巫女―口寄せの種類とその作法―生口と死口と神口―手向の水といふこと―巫女の唱へる神降しの呪文―ユリワカ説教と巫女―イタコのオシラ神の遊ばせ方―オシラ遊びの経文―各地方の市子と其の作法―羽後仙北郡の座頭嚊―陸中東山地方のオカミン―越後三面村の変態的巫術―常陸土浦地方のモリコ―信州の二三の市子と其の作法―大阪市外天王寺村の黒格子―紀州の算所と巫女の関係}
 第二節 報告で知り得たる各地の巫女と其の呪法 {緒報告に対する著者の態度―奥州のイタコと神附の作法―磐白に残る笹ハタキの呪文―暗示に富んだ貴重の資料―信州彌津の市子の口寄文句―その代表的のもの五種を挙げる―外人の見た巫女の作法とオシラ神―三州刈谷地方の市子と其の作法―美濃太田町附近の市子と作法―近畿地方の市子と性的生活―阿波美馬郡の市子と作法―土佐高知市の市子と其の呪法―筑前直方附近の市子と呪法―是等の諸報告に対する私見}
 第三節 我国隨一の巫女村の起伏 {角田氏の高示で知つた巫女村―飯島花月氏の配慮を仰ぐ―信州の名族滋野氏の末路と巫女頭―彌津村の由来とノノウ小路―ノノウの養成法と抱主との関係―巡業中の収入と生活の一班―ノノウの性的生活と旅女郎―ノノウの階級とその遺物}

第三章 巫女の社会的地位と其の生活
 第一節 歌謡の伝統者しての巫女 {本地物は概して巫女の謡ひ物―壱岐の巫女と百合若説教―曽我物語も箱根の巫女の謡ひ物か―盲僧の地神経を読むのも此の影響か―琵琶の発達と盲僧―瞽女の前身は巫女}
 第二節 日陰者としての巫女の生活 {男神主の配下となった神子―その存在は有るか無きかの情態―名神大社の神楽巫と配当の訴訟―他の者の収入は推して知るべきのみ―町村土着の市子は全く賎民と化す―修験の妻は概して市子―夫婦共かせぎの有様―教育不弁説に載せた竈払と市子の素行―生きん為めの身過ぎ世渡り}
 第三節 性的職業婦と化した巫女の末路 {巫女の売笑は新しい問題ではないが―これは又思ひ切つた堕落振り―神和系の神子も口寄系の市子も―情海を泳ぎ廻つた途は一つ―熊野比丘尼と伊勢比丘尼―好色本や読み本の材料となつた巫女の售春問題―川柳點に現はれた彼らの行動}
 第四節 明治の巫女禁断と爾後の消息 {明治維新と復古神道―鈴振神道は第一に槍玉にあがる―神仏分離から廃仏毀釈へ―常軌を逸した運動も時勢のみ―明治六年の梓巫市子の禁止―翌七年にも又もや禁令―併しながら水に浮草の根は絶えず―今に散在する巫女の潜勢力}

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