1990年2刷　四六判　P558　帯付

“人はなぜ生まれ、なぜ死ぬのか。現代ほど老いの叡智と聖性が失われた時代はない。われわれの身体感覚や知恵や技術を超えてスピードアップする現代社会の〈文明と速度〉に伴走しつつ、マンガ、小説、神話などのなかに現代の老いと死のイメージをさぐる。”（宣伝文）

目次：
序章 老いの肖像
｛ベナレスの朝日／翁童論再考―現代の老人像／サルナートのブッディスト｝

【I　速度と文明】
即身成仏の身体論　スピードと超越
　｛スピードと神秘体験／スピードとテクノロジー、あるいはアニミズムとメカニズム／重力と墜落／臨死と速度／三密のスピード／金玉の声―空海のマントリック・ヴォイス／存在即声字／金胎両界茶羅の構造と行法／人間神化と人間自然化｝

蛇の変容　ブッダの智慧
　｛蛇の変容／蛇の象徴学／「蛇」と「金」／脱属領化の身体技法＝ブッダ・アーサナ／脱祭犯・脱シャーマン／脱重力の智｝

スピード/都市/地霊　アキラとネオ・トーキョー
　｛SPEED SPEED／FUTURE NOSTALGIA／INVISIBLE SYMBOL／SPACE THEME｝

ホーリー・マウンテン　意識と旅
　｛退屈/覚醒あるいはスリープ/スピード　／　ホーリー・マウンテン/ワザリング・ハイツ、あるいは幻想/現実｝

宗教が「宗教」を超えてゆくとき　ニーチェ/バタイユ/ジョン・レノン
　｛I don't believe in religions.／God is a concept, isn't He?／Gods save religions, and supermen save gods.／I am that I am that I am that...who am I ?｝

【II　死への接近　臨死と神話】
死の境域　臨死体験をめぐって
　｛死体の变容／臨死者の報告／あの世からの帰還者エルの霊界物語／死と叡知｝

死への接近
　｛死との添寝／死への接近―神話伝承／死への接近―儀礼と実修｝

鼻から生まれた神　ホトとハナのトポグラフィ
　｛ホトからメ・ハナへ抜ける道／鼻から生まれた神―汚物の神話学｝

二つの死体　三島由紀夫と高橋和巳
　｛二つの敗戦、二つの死体／二つの根源、二つの原質―天皇と大衆｝

二人のサド・二つの輪廻　反時代的闘士としての三島由紀夫と澁澤龍彦
　｛二つの死体／　二つの遺作/二つのサド　／絶対界の住人・稲垣足穂をめぐって／二つの輪廻｝

浄土論　自然の法景
　｛地獄の景／浄土の景｝

【III　異界の変容】
イニシエーションなき社会のイニシエーション
　｛忍者への憧れ／存在性の変容／忍者から超能力者へ／二元論的構図からの離脱／「運命の子」｝

家族の肖像・キッチン　吉本ばななの世界

幼童神アキラの誕生
　｛若宮＝童子神としてのアキラ／　「流れ」と「力」―自然/人間/カミ　｝

翁と童の存在論
　｛翁と童の存在論／翁と童のフォークロア｝

エロスとタナトス　夢野久作・地獄の季節
　｛日本のオリオン―久作/賢治/足穂　／　兄妹の天国/兄妹の地獄　｝

龍蛇性の姪　ブルー/トパーズの聖と性
　｛龍蛇の性―ブルー　／龍性の姪―トパーズ｝

重力と死

翁の音楽　風の行方

風のモノガタリ

終章　輪廻家族の誕生―新たなる魂の原理へ
　｛リ・インカネーション／輪廻家族の誕生／家族の変容／血の原理から魂の原理へ｝

『童翁論』の挫折と変容―「あとがき」にかえて
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