1987年 四六判 P237 帯背ヤケ大 カバー少背ヤケ 小口少汚れ 両見返しヤケ
““日本的霊性の復権”
言霊・幽顕・鎮魂・帰神・審神・布斗麻邇・相学・易占・禊……
近代史の底流に横たわる不可解で常人の理解を絶する巨大な「霊」の存在!!
神道家・国学者・観相家・易学家・民俗学者などさまざまな職業をもった10人の生涯と、そこに錯綜する人脈・霊脈を解きほぐし、現代の宗教ブームへと連続する、精神の原風景〈霊学〉の伝統をあとづける。
幕末から明治へ、変革・激動の時代と交錯する「複眼の神道家」とは?”(帯文)
“神道の目的を「宇宙全体の理解」に求めうるとすれば神道の本質は、「神ながら」、つまり宇宙意識との一体化であった、といえる。
幕末から明治にかけての、激動の時代的渦潮のなかで、変革の時代精神は、こうした宇宙意識との感合をはかった神道家・国学者たちに兆した。
しかし、彼らの理想とは裏腹に近代化は、日本的霊性の否定と抑圧・幽閉をもたらす。
本書は、忘却の彼方に埋没した10人の霊性の発掘・評価と、現代へ連続する霊学思想の人脈・霊脈を「複眼」の視点から描いたものである。”(カバー裏紹介文)
目次:
はじめに
第一章 梅辻飛驒守の神道論
{梅辻飛驒守の出自と経歴/都市改造の先駆者として評価/神とは「火水則噛なり」/〈火水開嚙〉は宇宙剖判の神妙/霊的工コロジーを提唱/烏伝神道の数理的根拠/梅辻の〈数霊〉と大石凝の人体論/五大陸が沈み、別の五大陸が浮上する/禊教教祖に“布斗麻邇”を伝授}
第二章 「霊主物従」の実践的思想家・佐藤信淵
{信淵に対する相反する評価/昌益・篤胤・信淵は共通の風土に誕生/安藤昌益は偉大な神道思想家/信淵は剽窃の天才か?/時代を先取りした洞察力/信淵は神の仕組みを熟知していた}
第三章 「本学」の創唱者・大国隆正
{《本学》を提唱した国学四大人の後継者/初め今井、中ごろ野之口、最後が大国姓/太トの区象は宇宙万有の神理/「国学」嫌いの国学者は世界神道を構想}
第四章 観相学から霊的食養道の開祖へ・水野南北
{相法元祖聖徳太子・中祖水野南北居士/剣難の相はなぜ消えたか?/金華山の仙師から相学の奥秘を学ぶ/三期に分けられる南北の相法/現代にも生きる南北らの「一食」、「節食」運動}
第五章 霊学の嚆矢・平田篤胤
{神道の面白さを世に広めた出口王仁三郎/大本霊学に影響を与えた篤胤/八家の学の綜合をめざした平田学/平田篤胤と本居宣長の大きな違い/平田篤胤と伯家の周辺}
第六章 鎮魂帰神法の再興者・本田親徳
{歴史の闇に幽閉された霊学/狐憑の少女に出会って霊学研究を志す/平田篤胤を徹底的に批判/長沢雄楯を通じて出口王仁三郎らへ}
第七章 神仙として幽界探訪した神道家・宮地水位
{平田神道の玄学を継承した宮地神道/父子二代の神仙界への往来者/宮地水位が見た神仙界の様子/古神道と神仙道の顕幽観と死生観/宮地神道の行法と、もう一人の道統継承者}
第八章 民俗学の最終段階としての柳田國男の〈新国学〉
{日本民俗学は平田国学の直系/〈医者で神職〉の環境が意味するもの/飢饉の絶滅が民俗学参入の動機/日本の霊性文化の甦りを願った柳田}
第九章 川面凡児の〈日本最古の神道〉
{神道霊学の系譜と〈禊流神伝〉/川面凡児の出自と馬城峰の仙人/雌伏研鑽時代/稜威会創設と宣教開始/〈禊流神伝〉の秘教的アンダーグラウンド/〈禊流行法〉の深奥/凡児の前に凡児なし}
第十章 高島嘉右衛門と「高島易断」
{易学中興の祖・吞象高島嘉右衛門/日本占法の奥義/波乱の半生/入牢から生まれた《高島易断》/至誠通神の境地と救世済民}
おわりに
参考文献