1990年 文庫判 P283 小口少ヤケ
“「詐欺はインテリの犯罪である」(ラインハルト・ハップレヒト)
「人間は詐欺をするべく作られた」(E・A・ポオ)
「詐欺師とは私である」(種村季弘)
ヨーロッパのさまざまな詐欺師たちがまきおこした事件の数々を軽快なタッチで物語り、愛すべきトリックスターたちの肖像を描き出す痛快工ッセイ「ぺてん師列伝」姉妹篇。”(カバー裏紹介文)
はじめに ―表層の人
【I】
贋エチオピア皇帝の訪れ 英国艦隊をコケにした悪漢ヴェア・コール
{エチオピア皇帝一行の英国艦隊見学/提督ら「ブンガ・ブンガ!」とよろこぶ/名女優ヴァージニア・ウルフ/主謀コール稀代の悪巫山戯、死してなお人を欺く}
バルムベックの王様 大盗賊団長アドルフ・ペーターセン
{スラム街バルムベックの英雄/裏切られた純愛/猿(ましら)のごとき大盗賊団ペーターセン一家/もう一人のアドルフ・ヒトラー登場}
ルーマニアの泥棒英雄 貴婦人総ナメのゲオルク・マノレスコ
{カードの天才少年/ブーローニュ伯爵夫人との恋/上流階級専門の宝石泥棒/大泥棒アメリカへ渡る/ルーマニアでの大歓迎/黄金の腕折れて}
モナ・リザ泥棒 無頼の王様アポリネール
{モナ・リザの失際/アポリネール逮捕さる/ピカソは共犯か/第一次大戦の予行演習/真知犯人はダヌンチオか/誰がこの次にモナ・リザを盗む}
【II】
詐欺師の哲学 薔薇十字団大幹部カザノヴァ
{女流錬金術師デュルフェ夫人/魔術師カザノヴァのカブ-エリ/薔薇十字団のいかがわしき大幹部/夫人は「哲学の子」を宿して生まれ変る}
華やかな鉄仮面 女装の剣士デオン・ド・ボーモン
{純潔な少年剣士ロシア宮廷に女装潜入/王の機密局の女秘書/女装のフェンシング試合/ボーマルシェとの対決}
大革命の時計師 国家陰謀の技師ボーマルシェ
{時計職人から王室へ/ルイ十五世の秘密外交官/金儲けの天才/アメリカ独立戦争を演出する男/『フィガロの結婚』の成功と上演禁止/裏切られた革命の技師}
夢の機械魔術師 史上最大の魔術師ロベール-ウーダン
{カリオストロの謎の後継者/大魔術師トリーニと遭う/機械狂・発明狂ウーダン/ロベール-ウーダン劇場/奇術よりは二月革命/映画はウーダン劇場から生まれた}
悪魔博士の正体 オカルト怪人シュレンク=ノッチング
{トーマス・マン霊媒実験にお熱/マンの『オカルト体験』/操られ浮揚するハンカチ/船酔いにかかった臨席者/アンチ・オカルトの文化人たち}
二十世紀に蘇る救世主 奇蹟かペテンかブルーノ・グレーニング
{呪われた赤ん坊/グレーニングの奇蹟に集まる病人たち/足萎えが立ち、癌は治る/好色絶倫の救世主/支持する会のスキャンダル/イエスは再来したか}
顔のない男 結術と爆動のスーパー・カメレオン
{大英帝国下院議員、ハンガリー秘密情報局員、スパルタクス団幹部/中国大陸に暗躍/井上日召との出会い/ナチス支持のチベットのラマ僧侶/さまよえるユダヤ人}
史上最大の贋金造り ポルトガル乗っ取りのアルヴェス・レイス
{葬儀屋の息子、人生へ出発/アンゴラの鉄道株の買い占め/獄中で通貨偽造/正式のニセ札印刷/銀行も国家も植民地もいただき}
【IV】
詐欺師の楽園 トリックスターたちの肖像