2008年 四六判 P221 帯少シミ汚れ カバー背少ヤケ、端少イタミ
“「カ学」とは、俳句を貫く俳句の法則のようなものを考察したいと願っての題である ―俳句形式における主題と表現の関係について、対概念の提示、他の芸術分野との類比などの手法で迫り、俳句であることへの愛着と信頼を高らかに調い上げる。”(帯文)
目次:
俳句の可能性
{「俳句有限説」/現場の楽観論/季題というフロンティア/空即是色}
主題について ―季題という秩序
{季題という秩序/「死」と季題/主題と措辞/題について}
季題を演じる
{同曲異演/作ること、演ずること お/曲は古く、演奏は新しく/季題の「題」/金魚と梅}
季題と取り合わせ
{季題と取り合わせ/「季題天動説」/主と客/偶然と必然 /ご老公の印龍/ホストとゲスト}
写生について
{高浜虚子と外山滋比古/飯島晴子と波多野爽波/〈写生〉の間口}
「写生」と「読み」について
{指揮棒/写生と読み/暖味であることを明快に伝える/「写す」という行為}
言葉選びの心理
{言葉のポートフォリオ/リスクとリターン/危うきに遊ぶ/言葉選びのリスク/リスクを取らないことのリスク/慣性の法則}
名山と名月
{人間くさい語感/絵に描ける「満月」/芭蕉のバランス感覚/計算された賭け}
切れ字について―『葛飾』の場合
{束ねる」働き/「や」の場合/「かな」「けり」の場合/葛飾以後}
切れ字と叙情について
{「感情の林」/切れ字と叙情/時間と空間/俳句の論理と叙情}
常態としての変化 ―俳句と時間
{生々流転/常態としての変化/俳句における時間の観念/死への実存/ささやかな再生と復活}
感覚について
{「感覚」/表現の〈抽象性〉と〈間接性〉/俳句の条件/擬音語/擬態語/「感受性の欠如」と「想像力」}
俳句の設計思想
{詩の小型化/俳句の設計思想/草田男の俳句/虚子の俳句}
会話と棒読み ―他者としての言葉
{音との「会話」/言葉との会話/他者としての言葉/棒読み}
言葉と自然
{言葉と自然/言葉というインフラ/自然詠}
内言語について
{内言語/「ポンペイウスの死を知った」/自由律と内言語}
俳句という器
{俳句という器 /形式に内在するもの(一)/形式に内在するもの(二)}
あとがき