昭和48年 四六判 P198 函・帯少汚れ 本体元パラヤケ大、少イタミ 小口少時代シミ 両見返しヤケ 遊び紙献呈署名入
“野生と識見とに満ちた歌集
戦後の一時期、「アララギ」選歌欄における後藤直二の存在は輝かしいものであった。
〈略〉
しかるに、学卒えて実業界に身を投ずるや、後藤は、天稟たる熱情と集中力とを、こんどは職場に注入することとなった。ここに最優秀のビジネスマンボ誕生したかわりに、かれの三十一音律はついに久しく聞かれなくなった。
〈略〉
あれから二十年余経ち、みずからの“青春”が白昼夢のように街携と蘇る今になって、後藤直二君の歌集『胆振野』が刊行されるという。〈略〉さっそく、校正刷を見せてもらったが、そこに張溢する熱気といい灼華といい叡知といい、卿かも昔日のそれに変わるところがない。そればかりか、自然や現実に向けられた視角に一層の綿密さ正しさが加えられて、一首一首これ秀歌とよぶに値する作品のみが集積されてあるのを見届けた。〈以下略〉斎藤正二”(帯文より)
目次:
【第一部 流砂堆 昭和四十二年―四十八年】
北に嚮ふ/原野往来/野の旗/仮設事務所/用地選択/交友抄/泥炭/東京部落/遅春/建設雑務/寮自治曲折/樽前岳/野の槌音 その一/採用経緯/雪原/社宅街建設/野の槌音 その二/羽化/野の事過ぐ/冬の雨/北方猟族 (カナダインディオ、アメリカインディオ、和夷交涉、エスキモー、モンゴル、ユーカラ素描)/民芸瞥見/勇払原野/北の四季/探石行/街頭見聞/町史明治の章/貝殼雑歌/道内断片/病み籠る日に/廃村挽歌/八王子長柄同心勇払墓碑/河西祐助妻梅女墓石の詩/勤め日々/酔裏聞書 (海軍兵学校瑣事、集ひ、聞書一、聞書二、偶感)/某社再建/炭鉱/悼高橋悳氏/再会
【第二部 しき波 昭和二十二年―四十一年】
学の日々/友/又学の日々/学内文化祭/東雲埋立地/川戸/新宿駅前/係恋/世事茫々/電解爐/ターバイド/アルミナ工場/事務室/寮朝タ/稼動調査/組織の中/雪山/K町所見/妻子/病室/古里/子持山/植物園/田胡早稲の桑/東雲再遊/枯草
あとがき