2003年 四六判 P322+索引P2
“猟師たちからの聞き書きをもとに、寄り物、船霊、大漁旗など、漁撈にまつわる〈もの〉の伝承を集成し、海の道によって運ばれた習俗や信仰の民俗地図を描き出す。”(宣伝文)
目次:
【第一章 寄り物とエビス】
エビスと呼ばれる生物
{「寄り物」という言葉/カメの枕/寄りクジラ/エビスザメ/サカオイ/エビス石とエビス棒}
エビス石
{弘法とサケ/エビス石からエビス像へ}
エビスの図像
{夷三郎の図像/エビスの異形性/立ちエビス}
神楽の「西宮
エビスヨウとエビス講
{初漁祝と鼠鳴き/エビスバサマのお振る舞い}
【第二章 失せ物と竜神】
海上禁忌
{禁忌の伝承/金物の禁忌}
失せ物絵馬
{「失せ物絵馬」とは何か/分布地域/画題/奉納者/海辺聖地/変遷/巫女との関わり}
竜神
{ヘビと竜神/巫女と竜神/竜神の石}
【第三章 山オコゼ】
山バカリ
{正月の乗り初め/山バカリの伝承/山バカリの種類/山バカリの記録/鳴り聞き/南部参詣品}
山オコゼの伝承
{山の神と海の神が争う話/タツノオトシゴ/『遠野物語』の山オコゼ/巻員の山オコゼ/モズのはやにえ/へビの抜け殻/「釣ったさかな」/ネセヨウ/カツオ船による伝承/オコゼを上げる漁師}
【第四章 船霊様】
船大工と船霊|
{船大工のセンター/船大工の生活/船霊の御神体/船大工の「お船霊祭文」/ウグイスの谷渡り/棺箱を作る船大工}
船頭と船霊
{ナマ板とエビス板/海難と船霊/船頭に憑く船霊/書き残された「お船霊祭文」}
女性と船霊
{船霊の由来譚/桑名屋徳蔵の女房/御神体の髪の毛/陸にあることは海にある/クルイレ/クルバ呼ばり}
巫女と船霊
{エビス直し/エビス直しの詞章/オクチビラキ/フナズマイ/船霊祭文とエビスの御本地/神様アソバセ}
カシキと船霊
{船霊のオガダ/船霊への献饌/お灯明/廻船から漁船へ/サンコンメ/父母の名を呼ぶカシキ/金華山踊り/赤道祭り/国舞と国見酒/風を呼ぶカシキ/カシキと日和見/船上の踊り/初乗りとサオ祝い/初漁儀礼/マンボウとカシキ/餌声とナグラボイ/カシキと船幽霊/カシキだけが助かる話/カシキの図像}
【第五章 アンバ様】
近世のアンバ様
{安波山とアンバ様/近世の流行神/仙台藩へ飛び火したアンバ様/疫神送り」としてのアンバ様}
アンバ様の民俗
{いわき七浜のアンバ様/鳥小屋のアンバ様/カシキとアンバ様/福島県沿岸のアンバ様/宮城県沿岸のアンバ様/アンバ様の風景/気仙沼地方のアンバ様/天狗にかける/大杉大明神の化身/唐丹のアンバ様/常陸坊自作の天狗面/岩手県沿岸のアンバ様}
【第六章 大漁旗と大漁祝着】
大漁旗
{正月の大漁旗/大漁旗の由来譚/オシルシの時代/フライキの時代/染物職人の作る大漁旗/大漁旗の製作工程}
大漁祝着
{万祝とカンバン/お腰型の図像/小正月の大漁カンバン/小正月の大話とカンバン/鶴のくわえた吹き流し/大漁祝着の社会関係/「万祝い」という言葉はなぜ定着しなかったか/大漁カンバンの衰退}
【第七章 大漁の祭り】
正月のオカザリ
{カケノヨ/キリコとホシノダマ}
三陸沿岸の「唄い込み」
{「唄い込み」とは何か/大漁時の「唄い込み」/唐桑の「唄い込み」/岩手県南の「唄い込み」/南三陸の「唄い込み」}
黒潮の漁の祭り
{三陸沿岸の浦祭り/神津島のカツオ釣り神事/船越のトトツリアイ/紀伊長島の船だんじり/和具の潮かけ祭り/二木島の室古・阿古師神社祭/紀伊大島の水門祭/カツオ漁の起源伝承と祭礼}
参考文献
黒潮の果てから見た海の道 ―あとがきに代えて
索引