1989年　四六判　P205　カバー少汚れ、端僅イタミ　天僅汚れ

“漂泊芸能民による語りが王権と寺社に吸い上げられ〈歴史〉テキストとして成書されていく過程に中世の重大な位相転換があった。中世王権の構造を解説する気鋭の論考。”（カバー紹介文）

目次：
第I章　物語　―触穢と浄化の回路
　｛ホ力ヒビトの能／「琵琶法師の物語」／ホカヒと鎮魂（1）／ホカヒと鎮魂（2）／触穢と浄化、あるいは罪と流離／浄化の語り―物語から私小説へ／物語の〈定型〉と差別｝

第II章　物語りの巫俗
　｛軍記と物語り／文字の語り／盲人の語り／憑依体験の語り／霊語りの発生／憑祈祷の巫俗／「平家」語りの成長／文字テキストの成立／モノ語りの「正史」化／「正史」のモノ語り化｝

第III章　王榷的時空と反世界　―平家物語論
　｛王権共同体／因果論と無常観／王権因果論／王法と仏法／終末意識／因果論の相対化／天魔・物怪・怨霊／モノガタリの発生／〈歴史〉とモノガタリ｝
第IV章　太平記　―情況と言葉
　｛歴史伝承の系譜／言葉の構造／情況と〈群〉／行動の個人化／情况あるいは意味の喪失／言葉と情況／“日本”的アジテーションの始発｝

第V少　仏と神　―教化のイデオロギー
　｛信仰と支配／二つの教化／教化活動と寺院/聖徳太子と仏教／僧網と国師／神言伝達者の思想／高座説経（1）／高座説経（2）／文字と語り／仏主神従の論理｝

第VI章　和歌と天皇　―“日本”的共同性の回路
　｛歌ヨミと歌ツクリ／ヨムことの共同性／和歌表現の様式／詩的イデオロギーの構造｝

あとがき