1996年2刷 文庫判 P245 カバー上端僅イタミ
“本書は、アイルランドの詩人、劇作家、批評家であり、民俗学の方面で多くの優れた業績を残したW・B・イエイツ(一八六五〜一九三九)が、自らの足で求め、耳で聞き、体験した妖精や超自然の生き物たちの話をまとめたものである。
〈略〉
この『ケルトの薄明』は、イエイツの単なる創作ではなく、また民話・伝説の収集記録でもなく、いわば自らの体験を通して、民間に伝承されている話に、イエイツ自身の考えや感想を交えながら、ケルトの持つ独特の想像力とその世界を示そうとした作品集であった。”(本書『訳者あとがき』より)
“人間が見たり聞いたりしたものは生命の糸である(イエイツ)。
自然界に満ち満ちた目に見えない生き物、この世ならぬものたちと丁寧につきあってきたアイルランドの人たち。
イエイツが実際に見たり聞いたりした話の数々は、無限なものへの憧れ、ケルトの哀しみにあふれて、不思議な輝きを放ち続ける。”(カバー裏紹介文)
目次:
*時は滴り落ちる
*妖精たちの群れ
*この本について
1 話の語り手/2 信じることと信じないこと/3 人間が力を貸すこと/4 幻を見る人/5 村の幽霊たち/6 「塵がヘレンの月を閉じさせた」/7 羊の騎士/8 耐える心/9 妖術師/10 悪魔/11 幸福な理論家と不幸な理論家/12 最後の吟唱詩人/13 女王よ、妖精の女王よ、来たれ/14 「そして美しく恐ろしい女たち」/15 魔の森/16 不可思義な生き物たち/17 本のアリストテレス/18 神々の豚/19 声/20 人さらい/21 疲れを知らぬ者/22 地と火と水/23 古い町/24 男とブーツ/25 臆病者/26 オブライエン家の三人と悪い妖精/27 ドラムクリフとロセス/28 幸運な厚い頭蓋骨/29 船乗りの宗教/30 天国とこの世と煉獄の近さについて/31 宝石を食べるもの/32 丘の貴婦人/33 黄金時代/34 幽霊や妖精の性質を歪めたスコットランド人への苦情/35 戦争/36 女王と道化/37 妖精の友達/38 教訓のない夢/39 道ばたで/40 薄明のなかへ
訳者あとがき