昭和37年　Ａ５判　P533　二重函のうち外筒函欠　内函イタミ、ヤケ、汚れ　本体表紙少虫喰い、少汚れ、背ヤケ　裏見返し剥がし跡　天金

日本古式馬術について、その歴史や、馬上武芸としての様々な解説、打毬や流鏑馬などの行事作法、著者が司家を継承した武田流馬術に伝わる常法・軍法・礼法・相法・医法などを解説。
なお著者・金子有鄰は映画「七人の侍」「蜘蛛巣城」「隠砦の三悪人」で馬術を指導しており、その縁故から本書巻頭には、馬術関係者にまじって黒澤明、三船敏郎も序文を寄せている。

目次：
蹄の音　序文
　｛門外不出の公刊（賀陽恒憲）／真に最高資料（松村真一郎）／美挙に感激する（遊佐幸平）／伝来の秘伝書を（黒沢明）／蘊蓄を傾ける（三船敏郎）／馬と共に生きる（山本正）

【上】
馬上武芸
　｛「馬上武芸」という言葉／大坪流の「要馬術」／その軽んぜられたわけ／馬の闘志と癇／名馬思想と良馬思想／名馬排斥思想／駻馬を頌徳す／日本馬保存の道／馬当ては昔からある／馬戦における太刀と槍／謙信の馬上戦／上杉兵法の典型／わが馬足を庇うのが肝要／騎士と徒士との闘い／佐久間象山と川上彦斉／槍薙刀が第一武器／勝負における離乗術／騎士の刀の適否／片手切と双手切／馬上武芸としての抜打ち／第一の手は八双斬り／馬首を庇う抜刀法／手から刀の脱出を防ぐ方法／左方から来る敵の扱い方／間合の中に入る不利／敵の胴を貫いた時が危険／受太刀は不利に非ず／関東武士と輪乗り／輪乗りと大星の秘伝／馬で敵を圧すべし／槍の横道用法／槍による渡水の秘訣／宇治渡しと駒の足／長巻と他の長物の優劣／刀と長物の優劣／槍には欠点がある／長物同志の闘い／敵を遣り過ごせ／組打ちの勝負／馬上の組打ち／腰を据えること／組敷かれると負けか／袴で血刀を拭うべきに非ず／愛馬に神性を認める道／馬上の組打ち勝負可能なり／超人的な組打ち／一騎打ちと組打ち／後輪腰と鐙足の秘伝／馬の力で敵を引摺り落す法／腰固めの鞍の効め／熊本藩の鐙返し／極意は新工夫にあり／破天荒の奇手｝

【中】
武田家伝五馭　常法
　｛打毬と掬毬の伝来／掬毬馬戦について／戦法と陣太鼓／木馬胎教伝基／支度五ツ／乗次第ツ／鐙の踏様五ツ／鐙の品八ツ／挙の品三ツ／上中下の手綱／手綱拍子五ツ／五方の口／善き廻し口／馬場三ツ／足なみ三ツ／悪所九ツ／一息三息一息五息の事／汗合／息合薬／鐙の立伏／痛所を知る事／打所二十五／おく手綱三ツ／ひねる所／馬上の射方／陰陽返し／破の足にて序破急三ツの乗方／六具の付属／懸声／一策折／曲馬隠手綱五ツ／目付所／差縄法／弓馬軍礼故実司家系図略／門人帳｝
武田家伝五馭　軍法
　｛遠乗町積り／遠乗時積り／飼かけ／遠乗馬具／遠乗桜狩の事／三汗の心得／半道の事／敵陣近くにて馬の乗様／ツナギ来る事／添物見二騎来りたる時の乗様／軍馬具／川渡様の事／船又川より上がる敵を翔け立てる事／川を知る事／大雨に俄水の事／水により息長短の事／馬棧の事／闇夜に馬舟破れたる時／馬戦三段備崩／乗分／進軍六合乗り／息合の薬／馬の気を強くする法.／息荒く汗を流す馬には／諸薬｝
武田家伝五馭　礼法
　｛貴人を馬に乗せる時／四季の庭乗／式職の手綱／本腹帯染様／馬の用語／神前通行の礼／流鏑馬の用語｝
武田家伝五馭　相法
　｛三性の弁／目利大略／駿馬二十九相／馬検順序／面形五ツ／悪眼六ツ／施毛吉相／施毛凶相｝
武田家伝五馭　医法
　｛五臓／六腑／薬法／針所／灸坪｝

【下】
流鎮馬の誇り
　｛「三つの的を射て」の祈念／人斬り名人の門弟｝
異説川中嶋戦記
　｛信玄は刀を抜いたか／「鞭声粛々」の註は誤り｝
井上居元先生
　｛「潔く裂けなばさけよ」／近藤勇を狙う｝
名騎と名馬
　｛武門の総称である／天神時代には／中世の達人と名馬／鎌倉北条の名馬黄金期｝
軍令の陣太鼓
　｛陣太鼓のおこりと種別／軍学の起源／陣立について／陣太鼓とその打法｝
馬上人の健康法
　｛梅干の薬効について／国家に協力しない悪役人／乗馬と健康法｝
馬術の沿革
　｛西洋の馬術／日本の馬術／発達と奨励／栄華物語を見れば｝
流鏑馬神事
　｛流鏑馬の起源／中期の盛衰／徳川時代の武家の礼／神社奉納の神事／的に立てる四季の花／大日本弓馬会設立｝

蹄の音・後書