1997年3刷　Ａ５判　P405　カバー少汚れ、端僅イタミ

叢書記号学的実践2

“バルトによって先鞭をつけられた物語論《ナラトロジー》は、バルトの後継者とでもいうべきジェラール・ジュネットの本書において、徹底的な形式的分析の果てに、物語の新たな修辞学として確立されるに至った。錯時法《アナクロニー》・焦点化《フォカリザション》・冗説法《パラプレス》etc　『失われた時を求めて』を始め、プルーストの腿大な作品群を素材とし、更にはホメーロスからボルへスに至る古今のの多彩な物語の綴密な分析によって明らかにされたこれらの普遍的文彩《フィギュール》は、いかにして一個の比較を絶した全体へと織り成されるのか？ ロシア・フォルマリスムからバルトら同時代のフラン ス記号論はもちろん、広く欧米の文学理論の伝統をふまえつつ、服密な方法論と独自の概念によって語りの行為とその言説との本質に迫る本書は、一九七二年の刊行以来文学記号論の領域に活発な論争を惹き起こし、今日なおその影響は大きい。書誌・事項索引・固有名詞索引など原書以上に充実した資料をも付す本書によって、読者は無数の新たな『失われた時』の生産へと導かれるだろう。”（カバー裏紹介文）

目次：
まえがき
序

【Ｉ　順序】
物語言説の時間？／錯時法／射程と振幅／後説法／先説法／空時法に向かって
【ＩＩ　持続】
不等時法／要約法／休止法／省略法／情景法
【ＩＩＩ　頻度】
単起法/括復法　／境界限定・周期特定・延長／内的通時性と外的通時性／交替・移行／《時間》との戯れ
【ＩＶ　叙法】
物語言説の叙法／距離／出来事についての物語言説／言葉についての物語言説／パースペクティブ／焦点化／変調／多調性
【Ｖ　態】
語りの審級／語りの水準／メタ物語世界の物語言説／転説法／『ジャン・サントゥイユ』から『失われた時』へ―擬似物語世界の勝利／人称／　主人公/語り手　／語り手の機能／聴き手

あとがき
原注
訳注
『失われた時を求めて』の構成
原語＝訳語対照表
書誌
事項索引
固有名詞索引
訳者あとがき