2009年新装版1刷 四六判 P176+P14 帯付 カバー背上端僅イタミ
“4年の生涯の最後の肖像。ニューヨークからロンドンへ、執筆に捧げた15ヵ月。”(帯文)
“〈シモーヌは,だれもついてゆくことができない山頂のうえで、ふたたび孤独な自己と向き合う。山をよじのぼり、つづいている一筋の道をたどりながら、彼女はそれらの道程のひとつひとつにおいて、おなじ主題、おなじ問題、おなじ解答を見出してきた。だが、目的地にたどりつきつつある現在、それらすべては単純化されてくるように思われるのだ。中心のみが不動である。そのまわりを廻っている歩みはたえず半径をせばめている。なぜなら終局に近づきつつあるからである。〉
シモーヌ・ヴェーユの思想はすぐれた素質のもつ意識のドラマともいうべきものであり、その発展は驚くべき一貫性を有している。彼女においては思素と実践が分かちがたく結びついた統一体をなしており、内面の発展を理解するためには、その生涯を知ることが不可欠であろう。本書は先に刊行され、最良の伝記と評価された、同じ著者による『シモーヌ・ヴェーュ伝』 の補足をなすものである。
1942年6月のマルセイユ出港から、ニューヨークを経て、翌年8月に亡命先ロンドンで悲劇の死を遂げるまでの15ヵ月間は、ヴェーユの最大の文学的活動の時期であった。ヴェーユの思想の独自性への深い理解と、綿密な資料・証言蒐集から生れた本書は、この最後の日々に光を当て、短かりし生涯を通じてつねに真理のみを追求した稀有の魂の内面のドラマを描き出す。”(カバー裏紹介文)
目次:
まえがき
ニューヨーク、およびロンドンにおけるシモーヌ・ヴェーユ
マルセイユ出発(一九四二年五月十四日)
ニューヨーク(七月六日から十一月九日)
ロンドン(一九四二年十二月十四日から一九四三年八月十七日)
{自由フランス軍のもとで/イギリスの発見/亡命が果てしないものとなるとき/ミドルセックス病院(四月十五日から八月十七日)}
アシュフォード(一九四三年八月十七日から八月二十四日)
書誌
I 書肆および註で用いられた略記号
II マルセイユ出発後に執筆されたシモーヌ・ヴェーユの著作
{A マルセイユからニューヨークに向かう旅の途次/B ニューヨークにおいて/C ロンドンにおいて}
III シモーヌ・ヴェーユにかんする研究書
原註
訳註
訳者あとがき