2002年　A５判　P381＋索引ほかP18　帯スレ、背から端にかけてヤケ　カバー端僅イタミ　小口僅汚れ

“蘭方医の苦闘する姿を描く
蘭学は長崎に発して江戸で確立し、京都で成熟した。そして日本における解剖の発信地は京都であった！
江戸の大槻玄沢、宇田川玄真、榕庵、京都の海上随鴎、小石有素、河口信任たちの活躍を描く。”（帯文）

目次：
凡例
ま之がき

序説　―翻訳と実証
　｛1　西洋医術の受容／2　模写と実写｝

【I　大槻玄沢とその医学思想】
一　大槻玄沢と『重訂解体新書』
　1　開拓者としての大槻玄沢　｛玄沢の使命／玄沢の医学と『重訂解体新書』／漢説への批判｝
　2　蘭学者と在華西洋人宣教師の医説　｛西方医流と〈講余漫筆〉／解剖と玄沢の視点／〈翻訳新定名義解〉の意味｝

二　『瘍医新書』と西洋医学思想
　1　〈阿蘭陀流外科〉の実態　｛『瘍医新書』と翻訳／技術と知学｝
　2　L・へイステルの医学思想　｛へイステルの教え／西洋医学史への認識｝

【II　東西の〈本草学〉と〈薬学・医化学〉】
一　本草学と薬学
　1　平賀源内と『物類品隲』　｛薬品会と平賀源内／『物類品隲』の世界｝
西洋本草学の導入　｛西洋〈薬学〉の輸入／宇田川玄真と薬学｝

二　化学と医学
　1　『舎密開宗』と化学　｛榕庵と『舎密開宗』｝
　2　〈舎魯〉と理学　｛医化学の建設／蘭方医と理学｝

【III　日本近代医学の源流】
一　長崎通詞とオランダ医学の導入
　1　オランダ流医学の祖　吉雄耕牛　｛門人六百余人／ツュンベリーとの出会い｝
　2　吉雄権之助　―若き蘭方医を指導する　｛語学の天才／権之助と武部子芸｝

二　江戸の蘭方医と医学書の翻訳
　1　鉄根ノ人、宇田川玄随―初めて内科書を翻訳　｛玄沢と玄随／内科書の翻訳｝
　2　紅毛学第一、宇田川玄真　｛先駆けとしての蘭方医／玄真とその周辺／オランダ語と日本語と訳語｝
　3　医学教育と緒方洪庵　｛医学への志／緒方洪庵の指導法と倫理観｝

三　蘭方医と医療器具と西洋科学
　1　医療器具としての顕微鏡　｛近代の驚異／ムシメガネからケンビキョウへ｝
　2　カテイテルとヲリヰンガラス　｛医療器具作製の先駆者たち／医療の科学化｝
　3　越歴から電気へ　｛治療器具とエレキテル／電気学の成立｝
　4　蘭方医と〈空気〉の発見　｛大気と空気と化学｝
　5　幕末、尿の化学検査　｛尿と〈舎密術〉／リトマス紙の製作と使用｝

四　近代医学のあけほの
　1　日本最初の解剖事情　｛漢方医による人体解剖／『蔵志』と実証精神｝
　2　ネルボから神経へ　｛『解体新書』がはじめか｝
　3　『医戒』と医学倫理思想と長生術　｛|フーヘランドと〈自然〉／『医戒』と医の倫理／医師と患者／医と長生法｝

五　来日の蘭医と近代医学
　1　門尼幾と種痘と聴胸器　｛来日の蘭医たち／種痘の成功と普及｝
　2　朋百と医学教育・近代的病院　｛ポンペと養生所／近代的医学の確立｝
　3　抱独英と、眼科と理化学　｛精得館と医学教育｝

【IV　〈解剖〉への挑戦】
一　西洋解剖学と解剖書
　1　『解体新書』の虚と実
　2　解剖への関心　｛解剖学者、ヴェサリウスとパレ｝

二　オランダの名医、W/テン・ライネの来日
　1　ライネと西洋医術と長崎の医師
　2　通詞医師の出現
　3　蘭医の免許状と通詞

三　最古の翻訳『人体解剖図譜』
　1　通詞と『解剖書』 の翻訳
　2　本木良意と『阿蘭陀経絡筋脈臓腑図解』

四　解剖と京都医学界
　1　『蘭学事始』と虚構
　2　『造物余譚』と解剖
　3　日本最古の〈解剖〉
　4　三浦梅園と〈解剖〉観
　5　星野良悦と木骨人体模型儀

五　解剖と京都の先進性
　1　古方家と解剖　｛『解屍編』と解剖事情｝
　2　河口信任と医術修業
　3　『解体瑣言』と京都の解剖　｛解剖の名手小石在素｝
　4　解体論と解剖実施
　5　柚木太淳と解剖記録

六　漢・蘭医師と京都実証派と解剖
　1　三谷樸と『解体発表』
　2　〈解剖〉と三谷樸の苦悩

七　京都蘭学と解剖の饗宴
　1　海上随鴎と解剖の方法
　2　観臓と解剖用語　｛観臓とその思想｝
　3　京都、近代解剖学の発信地

解剖史略年表
阿蘭陀流医師の系譜
註
あとがき

The Dutch Style Phisicians in Tokugawa Period
外国人人名索引
総索引