1984年 四六判 P348 カバーヤケ、少スレ、端少イタミ 小口ヤケ、汚れ 巻頭・巻末数ページヤケ
“歴史の曙から科学文明の発展した現代社会に至るまで、占いはあらゆる世界で普遍的にとり行われてきた。それはイスラエルやイスラムの一神教文化にも、ギリシアの多神教文化にも見出すことができる。しかし、宗教と呪術の狭間にあるものとして、占いが正当な研究対象とされることはなかった。
ここに、チベット・中国・日本など、時代を異にする世界九つの地域の占いの諸現象を考察する。
「本書でいう占いとは、聖なる力や超自然の存在から、人間の通常の理解をこえた問題に対する解答を引き出す試みのことである」。(編者「まえがき」より)
その手法はト占や内臓占い、あるいは夢や自然現象から、と実に多様であり、それらが類いまれな想像力により、ある種の前兆を示すものとして解釈された。自然的占いは時代とともに人工的占いにとってかわられ、中国やバビロニアでは体系化が進められ、独自の宇宙観へと発展していった。しかしその変容は占いの衰退をも意味していたのである。
同じ編者による前著『古代の宇宙論』と共に、古代的思惟の世界を理解する格好の手引きとなろう。”(カバー袖紹介文)
目次:
献辞
まえがき
第一章 チベット(ラマ・チメ・ラダ・リンポチェ)
{ラマとトゥルク/専門の占い師と占星術師/占いの宗教的な側面/個別的な方法/ここまでの要約/託宣}
第二章 中国(ミカエル・ローウェ)
{はじめに/甲骨の使用と『易経』/風水}
第三章 日本(カーメン・ブラッカー)
{亀卜/夢の託宣/神霊に憑依された霊媒}
第四章 古代ギリシア・ローマ世界(J・S・モリソン)
{はじめに/占いの起源/神託の主要な中心地/紀元前五〜四世紀のアテナイ人の占い}
第五章 ゲルマン世界(ヒルダ・エリス・デヴィッドソン)
{籤による占い/馬による占い/決闘による占い/鳥による占い/直観的予言―巫女たち}
第六章 バビロニア人とヒッタイト人(O・R・ガーネイ)
第七章 古代エジプト(J・D・レイ)
第八章 古代イスラエル(J・A・ポーター)
第九章 イスラム(R・B・サージャント)
原注
訳注