2007年 四六判 P329 帯付 裏遊び紙ラベル剥がし跡
“淑女の秘密の身だしなみ
宮廷の貴婦人、パリの淑女から、娼館の華やかな戯れ女までが、こっそりと私室で愛用した「罪を洗い流す道具」「隠しごとなき親友」―初めて明かされる、その秘密の歴史”(帯文)
目次:
【第I部 宮廷の豪華なる美術品として ―十八世紀】
第1章 なぜそれは「ビデ」と呼ばれるようになったのか?
1 「ビデ」(bidet)という言葉の起源 ―小型拳銃、ロバ……
2 「罪を洗い流す器具」「打ち明け話の相手」 ―エロチックな比喩として
3 「女性がまたがって天国へ行く馬」 ―隠語として
4 「ビデのすすぎ水」「空のビデ」 ―罵倒語として
第2章 「ビデ」という器具の誕生
1 「化粧用の手桶」 ―十七世紀の初期型
2 貴婦人たちに流行した浣腸器とともに
3 高級家具職人による「秘密仕掛けの家具」
4 美術的な陶器・磁器の発達
第3章 入浴をめぐる秘められた歴史
1 共同浴場の普及と衰退
2 入浴と秘所の身づくろい
3 「淑女のたしなみ」 ―礼儀作法と身体の清潔
4 医学の発達と秘所の衛生
5 快楽の館の必需品
第4章 トイレ・浴室の誕生とビデの普及
1 より豪華に、より高価になるビデ
2 人目をはばかる秘密の私室 ―トイレ・浴室の誕生
3 ビデを競いあう、やんごとなき方々 ―ルイ十五世の愛人たち
4 貴族の邸宅には、どんな物が置いてあったか?
5 そして第三身分へ
【第II部 高級百貨店のショーウィンドへ ―十九世紀】
皇帝ナポレオンと副官ルマロワ将軍のビデ
第5章 明かされる秘所の秘密 ―医学の進歩とビデ
{1 医学の進歩と秘所の身だしなみ/2 結婚の衛生学/3 「特定の時期」の衛生学/4 女子修道院の抵抗/5 秘所の衛生と快楽 ―女性の自慰をめぐる医学論争}
第6章 快適なる化粧室の普及
{1 家庭の快適なる空間/2 「快適」は罪か?/3 ブルジョワ女性の聖域となった化粧室/4 排水設備の発明/5 労働者過程の実態}
第7章 ビデを持たずは女性に非ず
{1 美術品から衛生器具に/2 財産目録に見るビデの普及率/3 パリの女性と地方の女性/4 浴室の普及と固定型ビデの登場}
第8章 みだらな風俗の象徴
{1 風俗としてのビデ/2 娼館とビデ/3 フェティシズムの対象となったビデ}
【第III部 贅沢品から必需品へ ―二十世紀】
近代的化粧室の三種の神器 ―浴槽・洗面台・ビデ
第9章 大衆は「快適」を求める
{1 大衆の欲望を喚起する展覧会/2 「秘所の身だしなみ」をめぐる攻防/3 大衆化する「浴室」/4 女子校へのある通達/5 一九三六年、建築家と医師の意見}
第10章 戦後社会とビデ
{1 宗教家たちの最後の抵抗/2 口に出すのも憚られたものが、必需品の座を占める/3 職人の手から工業生産へ}
第11章 衰退するフレンチ・ビデ
{1 イタリアの台頭/フランスの衰退 /2 シャワー付便座の誕生/3 デザイナーズ・ビデの挑戦}
第12章 イタリアン・ビデに栄光あれ!
{1 ローマ法王庁による禁止/2 イタリアの辞書に「ビデ」が載るまで/3 医師たちによる衛生への戦い/4 生産・普及ともに世界一のイタリアン・ビデ}
おわりに
我は如何にしてビデなるものを知りし乎 ―解説にかえて(高遠弘美)
訳者あとがき(加藤雅郁)