1984年初版　四六判　P304　帯付　カバー僅スレ　天少汚れ

“アナキスト作家から仏門へ。
放浪と運動のなかで、たえず「裸形人なること」にこだわり続けた文学者
宮嶋資夫の生涯を描く。”（帯文）

目次：
一　『裸像彫刻』
　裸形人と襤褸人／父の折檻／厭世の芽生え／凶暴な血と享楽的な血／刃物への嗜好／砂糖問屋の小僧となる／砂糖問屋を飛び出す／文学への志望と露伴訪問／父母の争い

二　襤褸人の放浪
　富安塾での二年間／相場に手を出す／宮崎滔天『三十三年の夢』／鬼権の手代となる／高取鉱山（池内鉱業所）現場員／心中未遂事件／魚の行商／宮地嘉六との出会い／雑誌『新公論』

三　アナキスト群像のなかで
　大杉・荒畑との出会い／「近代思想」の廃刊と「平民新聞」の創刊／八木魔子との結婚／『労働者セヰリオフ』／辻潤／「労働者」発行兼編集人／生田春月と知りあう／『坑夫』の発刊と発禁／平民講演会の検束／葉山日蔭茶屋事件

四　実行と芸術
　辻潤・高畠素之との交友／比叡山の宿坊生活／創作「仮想者の恋」／労働社結成／メーデー事件／「大杉栄論」／童話の創作／「第四階級の文学」／小説「憎しみの後に」／「野呂間の独言」

五　創作の第二期
　酒と喧嘩／アナ・ボル対立／大杉との最後の会見／南天堂・三宜亭時代／絶望的テロリスム／中篇小説『黄金地獄』／長篇小説『金』／露伴『活死人王害風』／青野季吉の批評／平凡社の新興文学全集／「矛盾」発行と少数派の精神／創作「彼の哄笑」

六　仏門に入る
　麗子「夫を仏門に送りて」／天竜寺参禅・妄念／生田春月の自殺／高村光太郎『仏門に入りて』批評／提唱『寒山詩』／得度を受ける／僧堂の禁忌／禅堂の苦行／辻潤の発狂／無政府主義運動の行き詰まり／麗子の死／平林寺半僧坊の堂守となる／宮嶋の戦争観／裸形人への復帰／『真宗に帰す』（『遍歴』）の執筆／最後の面影

宮嶋資夫年譜
あとがき