1984年　A５判　P213＋資料P34　カバー少スレ、端少イタミ、背から端にかけてヤケ　小口ヤケ、少シミ　遊び紙に著者献呈署名

『ガリヴァー旅行記』などの著者として知られるジョナサン・スウィフトについて、物語や詩などの作品や書簡、伝記的エピソードなどから、その人物像を探る論集。

“伝記作者の伝えるスウィフトの生涯を重視し過ぎると、スウィフト像は伝説の靄の中へと消えていく。また、彼自身の書きものから彼を考えようとすると、彼の人物像はいくつもでき上がる。
・・・〈略〉・・・
しかしながら、スウィフトの乱舞の軌跡を辿っている時、彼の多種多様な仮面が幾層にも重なり、万華鏡の如き、絶妙な色合いの光り輝く残像を垣間見せてくれることがあることも事実である。
相反する評価を可能にさせる、スウィフトのいくつかの仮面を重ねることによって、スウィフト像を立体的に彷彿させることができるとの確信に基づいて、本書は彼の亡霊たちのいくつかの冷笑、叫び、呻きを集めている。”（本書「はしがき」より）

目次：
はしがき

序章　序にかえて　―諷刺家誕生
第二章　箒の柄を持つ柔術家
第三章　ボイルをいじめた皮肉屋
第四章　糞便愛好家的ヴィジョン
第五章　読み手を意識した露悪趣味
第六章　仮面をつけた愛国者
第七章　現実主義者の哀歌
第八章　高慢の鼻持つ信者
第九章　貴婦人の呪詛者
第十章　理性と反理性の狭間で
終章　もしくはもう一つの序章

あとがき

資料II
資料I
人名・書名和英対照表