昭和32年 A4判 P368 全体に経年によるヤケ、汚れ 函端破れ、イタミ 本体背上部湿気 小口時代シミ
日本各地の有名な伝説・昔話・史話・逸話80篇を、それを題材とした版画や絵、ゆかりの地や品の資料写真など、多数の図版とともに紹介。
目次:
日本六十余州 「伝説絵物語」発刊によせて(国会図書館長・金森徳次郎)
【東京】
八百屋お七 娘心に燃え上った炎は江戸を焼いてしまった
四谷怪談 虐待のすえに殺されたお岩の怨霊
太宗寺のつけ紐閻魔 子供を呑んでしまった新宿のつけ紐エンマ
梅若丸 隅田川のほとりに人買の手で死んだ稚児
浅草寺と三社祭 一寸八分の観音様をすくい上げた三兄弟
解説 (八百屋お七・太宗寺の附紐閻魔・浅草寺と三社祭・梅若丸)
【関東】
証城寺の狸囃 幼い頃から童謡で親しまれたたぬき囃
分福茶釜 汲んでもつきない茶を湧かし綱渡りまでしたという
九尾の狐と殺生石 美姫に化け死後は毒石となって祟った
義民宗吾郎 一命をすてゝ農民を救った宗吾の怨霊
怪談累が淵 七代にたたった醜女かさね
江の島の伝説 稚児白菊の死と江の島の出現
八幡の森と平将門 後の世にまで呪いをのこす将門の怨霊
足柄山の金太郎 山姥に育てられた怪童坂田金時
真間の手古奈 遠く万葉集にも語られる美女の物語
解説 (分福茶釜・累が淵・平将門・真間の手古奈・江の島の稚児が淵・静御前の舞衣・佐倉宗吾郎・那須野が原の殺生石)
【東北・北海道】
安達が原の鬼婆 旅ゆく人々を喰いはんだという
白石噺 孝女宮城野・信夫の仇うち
横手のかまくら 古くから伝わる子供たちの行事
塩釜と牛石 満々と釜にたゝえる水が国の吉兆をしらせる
大日堂の怪石 人々に災いをあたえた大石
出羽三山と能除太子 月山・湯殿・出羽……三山開基の由来
金堀吉次とかご山 掘りあてた金山のために死んだ男
地獄・極楽の恐山 針の山・血の池……東北に伝わる地獄・極楽
阿古耶の松 美女の琴の音にひかれた松の霊
なまはげ 漢の武帝が引きつれてきた五匹の鬼
阿寒湖のまりも アイヌ娘の化身といわれるマリモにまつわる物語
だんぶりの長者 とんぼが口に入った夢をみてから出世した男の話
解説(養老の滝・諏訪の七不思議・姥捨山)
【近畿】
大江山の酒顚童子 美女・財宝をかすめとった大鬼
羅城門 渡辺綱からわが腕をとり返した鬼女
石山寺の紫式部 石山の名月に浮んだ源氏物語
天の橋立 天からかけられた神様のハシゴだったという
蟻通し明神 国の危急を救った老人の機智
良弁僧正の杉 鷲にさらわれた良弁が引っかゝった老杉
苅萱と石童丸 瞼の父をたずね尋ねた幾百里……高野山にまつわる物語
道成寺 世に有名な安珍を追う清姫の情炎をえがいた
三十三間堂の棟木 棟木となった柳の精“お柳”
壺坂寺の沢市・お里 壺坂霊験記として名高い夫婦愛の物語
信田の葛の葉狐 命の恩人の妻となった“白狐”
解説 (酒顛童子と茨木童子・石山寺・島の出現・道成寺・信田の森の葛葉狐)
【中国】
姫路城の怪談 宮本武蔵に退治された天主閣の妖怪
姫路城の皿やしき お菊の怨霊をつたえる 播州皿屋敷
人柱になった源助 松江の大橋のいけにえになった男の伝説
熊谷と敦盛・扇の的 一の谷、屋島の合戦
平家の滅亡 壇の浦の合戦・義経の八艘とび
清盛の信仰と厳島 華麗をほこる平家納経と厳島神社 …
平家の怨霊 大物の浦に現われた平氏の亡霊と平家がに
赤間神社の“先帝祭” 壇の浦に沈んだ幼帝・安徳天皇をまつる
宮島の七不思議 瀕戸内海・宮島に伝わる七不思議
おとぐい式と管絃祭 平氏華やかなりし頃をしのぶ“行事”
佐々木盛綱と藤戸の漁夫 権力に殺された漁夫と笹無山
いなばの白兎 大黒様と白兎。それを祀る白兎神社
高砂の松 不老長寿の霊のこもる老松
布引の滝 仇を討った悪源太義平の霊
解説 (姫路城の刑部姫・播州皿屋敷・源平の伝説)
【四国・九州】
菅公を慕う梅の花 大宰府に散った道実と白梅
雷となった菅公 京の御所に雷となって怨みをはらす菅公
耶馬溪と青の洞門 前非を悔いた一念でうがった間道
博多小女郎と“比翼塚” 抜荷商人の死 それを慕う小女郎
あめやの幽霊 ゆうれいに清水を湧かさせた一文の飴
百合若大臣 強力無双の巨人伝説
鬼の伐りだした“材木岩” 神様にだまされた鬼共
九州の神話 国のはじめ・天孫降臨・鵜戸神宮・天の岩戸
志度のおとめ 夫のために竜王から宝玉をとりかえした海女
和泉式部と鳴戸の渦 渦の轟音をしずめた式部の和歌
巡礼おつると阿波の十郎兵衛 今にのこる悲運の物語
解説(博多小女郎と比翼塚・百合若大臣・九州の神話・志度の玉とり)
北のかっぱ・南のかっぱ(日本農村工芸作家協会 会長・山中登)
産物としてのかっぱ(東京芸術大学教授・西田正秋)
挿入絵図の解説(東京芸術大学教授・西田正秋)