1991年 四六判 ソフトカバー P261+注P30 帯背僅ヤケ 小口および扉ページ端時代シミ
“20か国語を理解する天才にして、熊野の山中深くに籠る森の巨人とは!
新資料を駆使していま明らかになった熊楠像”(帯文)
“本書は、ロンドン時代を中心としながら、全体としては南方熊楠の生涯、特に前半生を概観することを目的としたものである。南方の生涯を前半の漂泊の時代と後半の定住の時代とするならば、漂泊の時代に焦点を合わせることになる訳である。和歌山から東京、北米大陸、西インド諸島、ロンドンと渡り歩いていたこの時期、彼はしばしば、自分は放浪のうちに異国で命果てることになるだろう、と考えていた。そうした厳しい決意の中で、彼の視線は何をとらえようとしていたのか。ユーラシア大陸の東端の島国に生まれ、自らの足で地上を踏破せんと、独自の世界観を持つにいたったこの類稀な思想家の壮大なヴィジョンに、いくらかでも迫ることができればさいわいである。(本書より)”(カバー裏紹介文)
目次:
序 南方熊楠を読むために
「南方熊楠」とは誰か
{紀伊・熊野という根源/老樟木の申し子}
渡米以前
{博物学の系譜/海外へ}
アメリカの青春
{アンナーバー時代/中米放浪}
大宇宙と智
{アメリカ時代と学問への傾斜/進化論から大乗仏教へ/曼荼羅的宇宙へ}
処女論文「極東の星座構成」について
{星宿論に関する伝説/中国星座考/インドと中国の二十八宿について/「星宿論」の可能性について}
東西文明への視野
{「保護色論」/「拇印考」等/「マンドレイク論」/「さまよえるユダヤ人」/「日本の発見」}
英国博物館、一切智の夢
{ロンドン抜書/一切智の夢}
落斯馬論争
{オランダ民俗学界との接触/シュレーゲルとの論争/論争のゆくえ}
英国博物館殴打事件
{ディキンズとの交遊/博物館追放事件/失意の帰国}
田辺、紀伊、日本
{『ノーツ・アンド・クィアリーズ』誌という立場/日本人の世界研究者}
想像力の軌跡
{「事の学」の構想/「ムカデクジラ論」/「神跡考」}
神話の中で
{「態楠先生」は語る/伝説の中の素顔}
森へ帰る巨人
あとがき
南方熊楠文献目録 注