1999年 文庫判 P341 カバー少汚れ、少折れ跡 小口少汚れ 末尾ページ僅剥がし跡
“人間が生きるということは、身の回りの空間や環境に自分なりの様々な意味を与えることと同値である。自らの直接経験による意味づけによって分節した空間が、すなわち「場所」である。場所は、大量生産と商業主義が深化した現代においては、多様だったはずの意味や環境適合性を欠落させ、お仕着せのものとなり、「偽物の場所」のはびこる「没場所性」に支配される。本書は、ディズニー化、博物館化、未来化などの現代の没場所性の特徴を暴き出し、キルケゴールやカミュやリフトンらの文学や哲学の成果も動員しつつ、場所に対する人間の姿勢と経験のあり方を問う、現象学的地理学の果敢な挑戦である。”(カバー裏紹介文)
目次:
日本語版への序文
はじめに
謝辞
第1章 場所および地理学の現象学的基礎
1・1 場所の概念
1・2 地理学の現象学的基礎
1・3 本書の目的と方法
第2章 空間と場所
2・1 実用的空間または原初的空間
2・2 知覚空間
2・3 実存空間
2・3・1 聖なる空間
2・3・2 地理的空間
2・3・3 地理的空間の構造
2・4 建築空間と計画空間
2・5 認識的空間
2・6 抽象的空間
2・7 空間の諸形態間の関係
第3章 場所の本質
3・1 場所と位置
3・2 場所と景観
3・3 場所と時間
3・4 場所と共同社会《コミュニティ》
3・5 プライベートで個人的な場所
3・6 根付くことおよび場所への配慮
3・7 人間的存在の根源的中心として「住まいの場所《ホーム・プレイス》」
3・8 場所の重荷
3・9 場所の本質
第4章 場所のアイデンティティ
4・1 場所のアイデンティティ
4・2 場所のアイデンティティの構成要素
4・3 内側性と外側性
4・3・1 実存的外側性
4・3・2 客観的外側性
4・3・3 附随的外側性
4・3・4 代償的内側性
4・3・5 行動的内側性
4・3・6 感情移入的内側性
4・3・7 実存的内側性
4・4 場所のイメージとアイデンティティ
4・4・1 個人的な場所のイメージ
4・4・2 集団ないし共同社会《コミュニティ》の場所イメージ
4・4・3 共有意識《コンセンサス》となった場所イメージと大衆的場所イメージ
4・5 場所のアイデンティティの育成と保全
4・6 場所のアイデンティティの諸類型
第5章 場所のセンスと本物の場所づくり
5・1 本物の場所のセンス
5・1・1 無意識的な場所のセンス
5・1・2 意識的な場所のセンス
5・2 本物の場所づくり
5・2・1 無意識の場所づくり
5・2・2 意識的な場所づくり
5・3 本物性と場所
第6章 没場所性
6・1 偽物性
6・2 場所に対する偽物の態度
6・2・1 キッチュ
6・2・2 「テクニーク」と都市計画
6・3 没場所性
6・3・1 マス·コミュニケーション
6・3・2 大衆文化
i 別世界指向の場所
ii ディズニー化
iii 博物館化
iv 未来化
vサブトピア
6・3・3 大企業
6・3・4 中央権力
6・3・5 経済システム
6・4 没場所性の地理の構成要素
第7章 現代の景観経験
7・1 現代の景観経験の特徴
7・2 熟慮と理屈の景観
7・3 不条理な景観
7・4 自動車の役割
7・5 日常の景観
7・6 現代の景観における混乱と変幻自在性《プロテアニズム》
7・7 単純な景観
7・8 現代の景観の意義
7・9 小括
第8章 場所のゆくえ
8・1 場所
8・2 没場所性
8・3 没場所性は必然か
8・4 生きられた世界の場所の構築
8・5 結語
原註
引用文献
エドワード・レルフの著作目録
訳者あとがき ―人間主義地理学とエドワード・レルフ