昭和56年 四六判 ソフトカバー P282 帯およびカバー少背ヤケ
“サハラ砂漠とギニア湾岸の間にひろがるアフリカ・サバンナ地帯……そこの興味溢れる人間の営みや黒人帝国の歴史を語りつつ、「文字を必要としなかった社会」での、人、物、言葉のコミュニケーションのありようを探る。”(帯文)
アフリカの「文字を必要としなかった社会」におけるコミュニケーションと歴史の問題を、物語風の紀行文として綴る。
目次:
1 プロローグ ―奇妙な旅立ちのいきさつ
2 濃縮された空間 ―サバンナの市の雑踏にふみいる
3 装われた性 ―昔のモシの王に拝謁をゆるされた筆者が、宮廷生活の諸相を語る
4 王・異人・はずれ者 ―支配者と商人、鍛冶師、占師などのかかわりについて
5 サバンナの商都で ―コングにゆき、フランス人探検家バンジェルに会うと
6 いくさを嫌う商人 ―サバンナでの長距離交易の実態を見る
7 侵入者たち ―ヨーロッパ列強が勢力拡張にしのぎをけずっていた十九世紀末の西アフリカ
8 インテルメッツォ ―象牙海岸総督となったパンジェルと対話を試みる
9 奇妙な探検家 ―フランスのはずれ者ルネ・カイエを追ってニジェル川に赴くこと
10 砂と水のあいだ ―カイエとともに舟でニジェル川をくだる
11 幻の都 ―トンプクトゥをめぐる黄金幻想の由来
12 続・幻の都 ―幻滅のあとi砂漠に旅立つカイエを見送る
13 都市と商人 ―十七世紀のトンプクトゥで学識者との座談会を催す
14 商う者・祈る者・支配する者 ―砂と水のあいだに栄えた二つの都市における商人、宗教者、政治権力者の関係
15 時をさかのぼる ―十四世紀マリ帝国の都を探る
16 黒人帝国の謎 ―砂の中に消えた古ガーナをめぐる推理
17 拡散する空間 ―権力の興亡を縫って活動した商人たち
18 「もの」をたどる ―玉や鉄砲や布を手がかりに、文化の過去に分けいる
19 文化のなかの技術 ―サバンナに王権を成立させた「もの」の系譜をたどる
20 よそおう ―「類」と「個」の二面性について考える
21 ことばと図像 ―イメージによる伝達のゆたかさ
22 風に消えた歴史 ―サバンナの社会に時のしるしと個のしるしを追う
23 エピローグ ―はじめの市に戻っていた筆者
あとがき
主な参照文献