1990年 文庫判 P365 帯少スレ、少時代シミ 扉ページラベル剥がし跡 巻頭数ページ上端少波打ち
“アイヌとして誇り高く生きる女性の壮大なる一代記”(帯文)
“自然のなかに神を見、神を敬い、共存してきた日本の先住民族アイヌ。荒地に追われ、 葉を奪われ、貧窮の暮らしを余儀なくされながらも民族の精神と文化を守り通したアイヌのシカッケマット(淑女)の半生が、豊富なイラスト、資料写真を交え綴られる。現代の人間のあり方も問う、心優しい告発の書。”(カバー裏紹介文)
アイヌ民族の村おさの家系に生まれ、口承文学ユーカラ、トゥイタックや伝統的生活、手工芸などを継承、記録してきた著者が半生を回想。
目次:
まえがき(砂沢クラ)
【第1部 神々と共に】
初めて山のクマを見た/山で生まれ、山で育つ/コタンチラおじの不審な死/カワウソの脳ミソ食べる/
おじ、仕掛けにかかり死ぬ/死者を呼ぶ不吉な黒い鳥/村おさの家に育つ/カムイの血筋、災いも遠のく/その昔、大陸と交易/フチ、子を連れ森に逃げる/やってきた囚人たち/クマよりも速く走る/ヘビの神に見込まれる/恐れもなく、クマ穴に/母、苦労を重ねて育つ/エカシ、ほうそうで死ぬ/アイヌ語で賛美歌うたう/和人の小学校に入学/日露戦争、ウタリの苦しみ/和人に土地を追われる
【第2部 旧土人と呼ばれて】
マサ小屋で次々死ぬ/父、士別の山で死ぬ/父が見たおかしな夢/人殺しグマよみがえる/小学校を退学する/湧別へ魚釣りに行く/モノクテエカシ死ぬ/アイヌ学校へ通う/はやり病、弟と妹を奪う/浜益で、初めて海を見る/病院の看護婦になる/サロマで開拓を手伝う/木彫り細工を売り歩く/砂沢友太郎と会う/鉄道工事現場で働く/精華女学校で裁縫を習う/金成マツさんとユーカラ/知里幸恵さんのこと/結婚の使い来る/友太郎除隊、結婚する
【第3部 伏古コタンの日々】
ウェンモシリの伝説/オタスツウンクルの血統/度胸のあったフチの話/氷の下で死んだエカシ/オオカミに守られたフチ/マッカンの死の謎/新十津川に部屋を借りる/草小屋で長男生まれる/貧乏に追われる/二女誕生のつらい思い出/産後十日目でガンビはぎに/大洪水で死にそうになる/二女死に祖先供養をする/クマ送りで苦労する/大猟の金で水田を開く/旭川に里帰りする/冷害、水害で苦労する/夫の乱暴始まる/離婚を決意する/コタン消滅する
【第4部 安らぎの地を求めて】
奈井江の山に入る/夫呪われ、クマ送りする/チャランケの血統と言われる/木ネズミ1匹で1日の出面賃/添牛内で酔っ払い夫婦と会う/母のトゥスで夫がいのち拾い/登別温泉で観光業をする/真志保さんにアイヌ語教える/登別で家と馬と畑買う/定山渓でクマ退治する/テン捕りに山に入る/末子死に、気がふれそうに/清、眼病にかかる/定山渓の造材現場で働く/添牛内の山で大猟する/政代死に、初孫に慰められる/奈井江の炭鉱を出る/添牛内の山で夫を投げ飛ばす/初孫が死に、嫁を離縁する/家を建て、女の孫生まれる/芦別の山でクマ大猟/目も毛もないクマを育てる/孫とクマの守りで疲れる/戦争末期の日々/ヤミ米やヤミ鮭を売る/雨紛の山で大ケガをする/夫、また暴れるので阿寒へ/フチと母をとむらって/函館で大借金を背負う/添牛内から安住の地、芦別へ
【第5部 文化伝承の日々】
家を建て、孫を呼ぶ/川岸・四季の暮らし/キャンプでにぎわう/観光祭りに招かれる/代恵子結婚、造材の留守番へ/アイヌ祭りと金田一先生/シサムの都を旅する/夫、急に倒れる/夫、ついに死ぬ/死の前の不思議な振る舞い/アイラボッテの血筋/夫死後の暮らし/外国人学者を夫と間違える/コヨちゃん入院し、白老へ/白金温泉でユーカラ演ずる/大学教官宅で研究協力/目の手術で外国旅行フイに/大学生の合宿に招かれる/ひ孫と苫小牧へ、清死ぬ/幸せな暮らしに涙
クラさんの暮らしと同時代史
記録に登場する親族の系図.
クラさんの歩いた道
あとがき(深尾勝子)
文庫のためのあとがき(深尾勝子)