
1983年初版 文庫判 P400 カバー端僅イタミ、背ヤケ 小口からページ端にかけてヤケ 天時代シミ多
“「地球市」と名づけられたその世界は、全長1500フィート、7層に区切られた要塞のような都市だった。しかも、最適線(都市が位置すべき理想の場所)めざして、常に北へ、年に約30.5マイルずつ移動する、動く都市だった。都市は、『デスティンの指導書』と呼ばれる経典に従い、6つに区分されたギルド組織によって防衛されていた。子供はすべて託児所で育てられ、印刷物はほとんど惑星「地球」―この世界の伝説上の故郷とされていた―での生活を扱ったものだった。
ヘルワード・マンは、この世界の成人とされる650マイルの年齢に達したとき、託児所を出て、父親と同じ未来測量ギルドの見習員に志願して、初めて都市の外の世界を垣間見た―太陽も月も、教えられていたような円形ではなく、いびつに歪んだ世界を……。
「魔術師」ファウルズをして驚嘆せしめた、SF的アイデアと文学的完成度の類稀な結合。
燦然と輝くプリーストの最大傑作!”(カバー裏紹介文)