1997年 四六判 ソフトカバー P242 カバー上端僅イタミ
1995年に当時の震災、事件、社会情勢、風俗なども絡めつつ、荒俣宏と小松和彦が風水や地霊、文化、都市の成り立ちなど……について語り合った対談。
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日本にとって忘れることができない年となった一九九五年、荒俣宏と小松和彦によって仕組まれたもう一つの事件が進行していた。これまで誰も語ることのなかった視点から、都市と日本文化を徹底的に洗いなおすという作業である。オウム事件から本草学まで、阪神大震災から風水まで、「日本の宿題」が次々に俎上に乗せられていった。謎は解体され、そして増殖してゆく。帝都東京に明日はあるのか。”(カバー袖紹介文)
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はじめに ―鬼の宿題
口伝第壱番 風水都市
{風水には地震対策がなかった/暴走する快楽と持続する快適/天を想定しつつ地上を考えること//地震は体験を超えて神話化する/貧困の発明と共産主義の時間割/カレンダーとしての道のつくり方/霊的なものが行き交うところ/勘が働かなくなってきた/妖怪のいる都市を計画する/ゴジラは現代の鯰絵になれるか/ものへの執着とコレクターの空し/ヨーロッパのホテルに歯ブラシがない理由/旅人はなぜお土産を買うのか/最初の人類がやすらいだ風景/闇の啓蒙が必要になってきた/道々のもののネットワーキング}
口伝第弐番 地霊都市
{地霊には四つの性格がある/聖なる空間と芸能と経済/渋谷のマジカル・スポットと八幡ロード/池袋では怪事件が起こる/日本には風水がなかった/墓を自由につくれなくなった問題/コスモロジーを失った町/狸囃しと鐘の音の不思議/上野の山で情報が経済になった/行われなかった東京遷都/「師」の人びとのマジカルな力/香具師と相撲とテキヤとやくざ/縁日には異物と異人が集まる/将軍吉宗が博物学者をスパイにした/江戸文化の起源は紀州にある/比叡山のディズニーランド/コンピュータで国見ができるか/きれいごとの学問が隠してきたもの}
口伝第参番 幻想都市
{ヨーロッパの都市はシンボルだった/新宿都庁舎ピルは名所になれない/宦官と纏足を輸入しなかった日本/京都幻想が江戸を支えていた/歌枕システムによる地方開発/東京は帝都であり続けるべきだった/ネットワークが情報のごみで埋まるとき/ハッカーの歴史性と都市の未来派/都会のエコロジストたちの憂鬱/幻想としての故郷と実体としての農村/問答無用の三つのドグマ/「かわいい」と「かわいそう」のヒューマニズム/地球規模の「生類憐みの令」が文化を滅ぼす/男優のいる宝塚はきっとつまらない/第四世界人類学とそれぞれの幸せ}
あとがきにかえて ―おばけの出る街 福の街(羽久美照)