1986年 四六判 P247＋索引P7 帯背折れ跡 カバー僅汚れ、背および端少ヤケ
“「表現の吃水」によって、定型短歌の真向かう問題点を鋭く抉り出した永田和宏が、さらにその論点を比喩論・読者論・虚像論をテコに掘り下げ、〈表現の現在〉を烈しく問う、待望の力作評論集。”（帯文）
目次：
【I 序にかえて】
認識の方程式 ―「短歌への訣別」について
｛一〇年ごとの短歌滅亡論／短歌的感性の限界／定型の批判力の回復／旧派和歌と現代｝
自己否定の回路 ―三枝�暁兄瓩悗諒嵜�
｛時間のヒエラルキイ／なぜ定型論か／自己否定の回路／ことばの制度化／（キ）合成法試案｝
【II 比喩論】
喩の蘇生
喩の時代は終わったか？／菱川論文の問題点／認識の受肉／喩とはなにか？／歌における直喩の本質／前衛短歌を超えるもの｝
茂吉の直喩 ―『あらたま』を中心に.
｛茂吉における比喩の否定／直喩の出現頻度／忘れがたい直喩／「生のあらはれ」｝
喩と読者
｛常識からの脱却／共犯としての読者／拉致装置としての喩｝
【III 読者論】
愛誦歌の条件
｛愛誦歌論の困難／啄木の改作／愛誦歌の現象学／読者の参加／愛誦歌待望論の史的必然／歌の暴力性｝
普遍性という病 ―読者論のために
｛想像力の自家中毒／〈普遍性〉の追求／顔のない読者／読者の限定によるラディカリズム｝
なびけこの山 ―読者への架橋
｛『みだれ髪』の命令形／他者への呼びかけ／独詠歌と対詠歌／スチュアル・ファラシー／読者への架橋｝
【IV 虚像論ノート】
喩のアポリア
｛序論風に／喩の条件／直喩について／再び直喩について／直喩・隠喩の現象論／序詞について／固有名詞について｝
〈付論〉一首の読み ―韻律論への一歩
虚像論ノート
｛零の不在／存在の衣／「消されたものが存在する」／存在しない輪郭がなぜ見える／あとかたもなし／花も紅葉もなかりけり／ピエールがいない／インプリンティング／錯覚の如く／実体に付属する〈影〉／稀薄な実体と確かな〈影〉／笑い猫と〈笑い〉／現在に生きる〈序詞〉／予感を現前させる〈序詞〉／風を〈見る〉／空気の知覚／杳く幼き港あるごと／〈とらえがたき〉の射程／〈すべてが消え去った〉が現れる／〈虚像の鳩〉／シンポジウムのことなど／「おどろきの空間」／存在感の不安／おわりに／付記｝
あとがき
初出誌一覧
索引
