
1993年新装版 四六判 P253 帯僅スレ カバー一部剥がれ、背少ヤケ、端少イタミ 天地小口僅汚れ 地B印 表見返し端少セロテープ跡 裏遊び紙少剥がし跡
“鬼を愛してやまない著者が、鬼の食生活、怨念、エロチシズム、吉凶、世界の鬼等、鬼の暮らしと知られざる真相を詩人の目で解く。”(帯文)
説話、文芸、芸能、宗教、俗信など、鬼にまつわるさまざまなエピソードをテーマごとに紹介。
目次:
【プロローグ 愛しき鬼たち】
梅干しになった鬼/化粧品を欲しがる鬼/蟹好きな鬼のなれの果て/おしゃべりな鬼/優しき姫鬼
【第一章 鬼の食生活】
ブドウと筍と桃
{日本最古の鬼は黄泉津醜女/桃は邪気を払う果物/“桃太郎”はなぜ桃太郎か/鬼が島の舞台裏に道真の涙}
鬼の健康食
{鬼に一番売れる商品とは/豆腐屋は鬼にご用心!/豆腐で腫れや湿疹が治る!?/節分の鬼が人妻に一目惚れ/豆撒きの“豆”には〈厄〉がある/「福は内、鬼も内」/鬼の強さは眼の数でわかる/方相師の面は鬼を追い出す役目}
味噌と鬼
{貧乏神は鬼の仲間/なぜか福の神と化した貧乏神/貧乏神と知り合った男が聞き出した話/貧乏神を追い出す〈送窮の式〉/“鬼味噌”は月に1度だけ}
【第二章 地獄の鬼】
地獄から帰ってきた人々
{亡き妻はあの世で再婚/“閻魔帳”は罪業の記録簿/血も涙もある間魔大王の裁定/「父が油釜に入れられた!!」/地獄と現世は往来できる/〈地獄街道〉はどこにあるか}
地獄の責め苦は果てなくつづく
{そこに地獄が…/火炎樹の面積は七五○平方メートル/地獄の一日は人間界の九〇〇万倍の長さ/八大熱地獄と八大寒地獄/責め道具はすべて鉄製/黄泉の国と地獄は異質の世界/供養されない霊が“餓鬼”に/友が茶漬けを食べない理由/再び生まれるための手続き}
【第三章 怨念とエロチシズム】
安達ケ原の鬼婆
{裏切られたのは老婆/福島県安達ケ原に伝わる鬼婆伝説/約束を破る男に罪はないのか/赤児の生き肝欲しさで鬼に}
女が鬼と化すとき
{般若面は女の怨霊を具象化/焼きもち女は〈角〉を出す/離縁された女が丑の刻詣/羞恥の鬼、六条御息所/〈静〉があらわす怨みの深さ/恋する男を焼き溶かす愛/男が鬼に化けるとき}
鬼の情愛と性
{夜叉の妻になった女/男色の鬼/人間の女に子を孕ます鬼/鬼のセックス}
【第四章 鬼退治の残虐性】
酒顚童子と茨木童子
{酒が生命とりとなった酒顚童子/酒顚童子の断末魔が意味するもの/片腕を斬り落とされた羅生門の鬼/茨木童子は元・床屋の小僧/鬼の指は三本指/“童子”は罪人/〈おかっぱ髪〉は山内労働者の証}
前鬼・後鬼
{鬼の髪を切り怪力を封じる/わが子の死骸を食べた夫婦/〈人の肉を食す〉ことは〈人を料理する〉より残酷か/前鬼の正体は天狗と山伏!?}
鬼の口惜しさ
{鬼退治は果たして正義か/鬼にも襲う理由がある/凋落する者と出世する者/鬼追放は征服側の驕りの産物}
【第五章 宗教における利用価値】
中国の鬼
{姿は見えず毒を吹きつける/道教の鬼神は天地万物の諸霊/死霊を鬼神とする儒教/仏教伝来で、一挙に鬼が跋扈/『飜梵語』の鬼は六十六匹/儒教の鬼神と仏教の鬼神はどこが違うか/布教に役立つ鬼の存在}
日本の鬼
{日本の鬼はなぜ非人問的か/鬼の退散は劇的効果を狙う/今昔物語 にみる仏教普及の方法/極度の残酷性に批判の声/信仰心の欠如は鬼になる}
ヨーロッパの鬼
{死体をむさぼる食屍鬼/吸血鬼の正体/キリスト教が説く吸血鬼像/なぜ“にんにく”と“十字架”が効くのか}
【第六章 吉凶を導く鬼】
屋根瓦の知恵比べ
{恋女房が原因不明の病いに/鬼瓦を睨む鍾馗の瓦/鍾馗は鬼より強い}
魔除けと民間伝承
{干瓢でこしらえた鬼の面/“下の口”は鬼を食べるもの!?/左右一対は鬼を畏怖させる/神社に狛犬がある理由/鬼を威す方法/病気は鬼の仕業/十二支の病鬼を避けるには}
豊作祈願の鬼文化
{農業と結びついた祭りの鬼/村人たちがエネルギーを爆発させるとき/「鬼さん、長居は困ります!!」
【第七章 雷神と風神】
雷神と鬼
{八はしらの雷神/怨念が雷を起こした!?/雷が太鼓とをもっている理由/中国流雷の解釈/雷公の代役をつとめた男}
風邪と風神の関係
{風神はイザナギの息子/伝染病が蔓延する時代背景/“風邪は風が運んでくる”