1999年新装版1刷 四六判 ソフトカバー P190 ビニールカバー・帯付 表紙端ヤケ
“わたしは伊藤桂一という温和で篤実な人格の照射する圏内で、いくらかそれに甘え気味に身を保っているのが在り様だ。そして彼の場合、〈詩〉は人格の一部であるという(当然のことのようでいて多くは必ずしもそ
うでない) ことを美しくも成就している。
伊藤桂一という〈兵隊〉の目は、観念の空虚さや虚偽性を徹底して嫌う〈庶民〉の目にほかならない。
彼の〈竹の思想〉は庶民の生命体を母胎にして、彼の人生観・死生観・自然観・社会観、はたは宗教観とさ
え言ってもよさそうな領域にまで及び、それらをすがすがしいばかりに〈竹〉に形象化している。(安西均・解説より)”(裏表紙紹介文)
目次:
【詩集『定本・竹の思想』全篇】
1 {竹十草/絶景/風景/一章/南紀の駅/椿/詩人/魚藍/鳥/屋敷町にて/竹/水車/富士/雑草と穿岩機/発見/鱒}
2 {水ぐるま/存在/微風/鳶の音楽/灯/ペンギン詩抄}
3 {風を囲む対話/樹との対話/壮年/竹の歌/竹のある風景/淵/剥製/織女/溶けた詩集/歳月/春の釣/波の発見/夜の記/新緑の刻/船旅/戦中戦後/樹に彫らん/桃林の賦/山中偈}
4 {悼詩/悼詩/悼詩/雀の刻}
5 {辺土の駅/韓国のをみな/晴夜/駐屯生活/暮靄の淵/中国を去るにのぞみ中国に贈るの辞/東洋への郷愁/積乱雲}
【詩集『伊藤桂一詩集』より】
波と鶯(旅の詩帳から) {鰍の詩1/鰍の詩2/鰍の詩3/波と鶯/滝を溯る/菜種抄/桜島/谿間/水のほとり/旅にて/雪のあと/旅の収穫/鶏頭の道/川/沼へ/霧の町/日向路にて(・大淀川 ・ばった ・日の出 ・日向のひと)/西都原の馬/山峡歌/古調小吟/かいつぶり1/昏れる海/北海詩抄(・岬のある町 ・摩周湖)/石の時間/石の国の風景}
【詩集『黄砂の刻』より】
1 漂う月(十二章)/荷馬車の列/洞爺湖畔にて/車窓の眺め/鳥/漓江を下る/南寧好日}
2 {瑞兆/月の出/つゆくさの花/雲厳寺/石/歌}
3 {枯木の道/雨の日に/林の中/黄砂の刻一/黄砂の刻二/黄砂の刻三}
【詩集『連翹の帯』より】
1 {月明/邯鄲の声/やさしい蛇/田鴨撃ち}
2 {花三題(・彼岸花 ・桜)/連翹の帯/青菜}
3 {小さな重み/小さなアンズ/椅子の下で/風の迎え/彼岸花の岸/竹の林をくぐりぬけると/筑紫の国の水ぐるま}
【「近作詩篇」より】
竹の歌/梟/天神山にて/途上
【詩論】
詩から散文へ/「ノミ抄」の周辺}
解説 わが詩友・伊藤桂一君(安西均)
年譜