1982年 四六判 ソフトカバー P161 ビニールカバー欠 表紙背から端にかけてヤケ、角少イタミ 小口少ヤケ
“ねね、聞いて聞いて! というふうに人に読んで聞かせたい詩(または数行の詩句)は、そうざらにあるもんじゃないが、辻さんの詩を読んでいるといたるところでそう思ってしまう。理解しようとか、解釈しようとか、批評しようとか考えるいとまもなく、心を奪われてしまうのである。
悲しみとか歓びとか呼ぶだけでは片づかないところに感情のリアリティがあるとすれば、辻さんの詩はにがいユーモアとともに適確にそれを伝え、読者は真実を言ってもらったことに、慰めと安心を見出すのだ。 谷川俊太郎”(裏表紙紹介文)
目次:
【詩集〈学校の思い出〉から】
十一月の詩/野の花
【詩集〈いまは吟遊詩人〉全篇】
1 {断片〈二篇〉/木/沈黙}
2 {あしかの檻/ /ある都市では/池袋 土曜の午後/彷徨〈わが日録〉/株式会社夕日/嘆き/野犬/牧歌/海水浴場で/帰郷/きみがむこうから/校庭のアスファルト/ある訪問から/食事の時間/世界は一瞬のまに/きみの叔父さん}
3 {老婆殺し/学校の思い出/おぼえがき}
【詩集〈隅田川まで〉全篇】
地球儀を眺めながら/魚・爆弾・その他のプラン/隅田川まで ・わたしは四時半に起きた ・わたしは歯を磨いて顔を洗った ・パンを齧りながらわたしはこわい ・五時に雀が目をさました/友達へ葉書の詩/ブリキの宇宙ロケット/妙な外套を着た男・鳥たち・森/窓のあけたて/いまαがむこうへ歩いて行った/樹にのぼる/抹香鯨/棒論/弟に速達で/隣家の庭の眺め/春の問題/電車/花/仕事/夜道/婚約/挨拶/風/渚/ジャックナイフ
【詩集〈落日〉全篇】
落日―対話篇/桃の花/八月は夾竹桃が/わたしは沈丁花が/子守唄の成立/みずはつめたい/鳩/星/睡眠/唄一つ/冬の海/童話の勉強/路地裏の翼/ライオン/落日―おはなし篇
【未刊詩篇】
タバコ/訪問/公園/晩餐/納屋の暗闇/川/立ちどまる/三つばかり/消息/喫煙する人体/キリンナツバナ/植物/菜の花/わたくしの名前
【短編】
騎兵隊とインディアン
【評論・自伝】
曲芸師の棲リ木/瓦礫の構造/もうひとつの「六〇年代詩」/窓からの眺め/自伝風ないくつか ・1 隅田川の水 ・2 ぼくのジャックナイフ ・3 黒い六角形のこと ・4 アメリカの詩その他 ・5 書評にならなかった書評
【作品論】
現代的抒情の根源へ(野沢啓)
【詩人論】
辻クンのジャックナイフ(清水哲男)
辻征夫の手紙(井川博年)