2004年7刷 文庫判 P335+索引P22 カバー少折れ跡 ページ数ヶ所にごく薄く鉛筆引き線消し跡(おもに筆圧痕)、角少折れ跡
“内部/外部、秩序/混乱、清浄/不浄、自己/他者などの無限に反復される二元論のうえにたえまなく分泌されるもの。境界をつかさどる聖なる司祭―〈異人〉。この、内と外とが交わるあわいに生ずる豊饒なる物語を、さまざまなテクストを横断しつつ明快に解き明かす、危険な魅力にいみちた論考。”(カバー裏紹介文)
目次:
序章 〈異人〉 ―漂泊と定住のはざまに
内部と外部の神話
遠と近・または漂泊と定住
関係としての異人・異人としての関係
第一章 〈異人〉の考古学
I 境界・無縁・コムニタス {共同体とその外部/森の放浪者たち/無主・無縁の世界/裏返された内部の風景}
II 市・交通・異界 {境を横ぎるもの/沈黙交易と異人/市の起源史/異界への窓としての市/他者の発見・自己の誕生}
III ほかいびと・自己の誕生 {穢れと異人歓待/掃除・それゆえ聖なるもの/ほかいびとの原像/まつりとまれびと/山人譚という装置}
IV 聖痕・不具・逸脱 {聖なるものの分化/聖痕・または媒介者の表徴/常民社会と異人/琵琶と杖のある風景/贖罪と復活の旅}
第二章 〈異人〉の系譜学
I 王権・供犠・刑罰 {原型としての王/王権という浄化装置/偽王の制度/宦官・ある道化の肖像/聖なるものと供犠/供犠としての刑罰}
II 天皇・賤民・職人 {聖なるものの系譜/斎人・または王権の影/貴種流離譚の深層/国家のキヨメの構造/職人由緒書と天皇}
III 亡命・遊行・芸能 {古代の山林亡命者たち/行基という問題/勧進と技術の系譜/聖から毛坊主へ/鎮魂としての芸能と境界}
第三章 〈異人〉の現象学
I われら・かれら・バルバロス {名付けることと異人/隠喩的地理学/妖怪イメージと境界/政治的なるものと供犠/分身または変身}
II 周縁人・境界人・通過儀礼 {マージナル・マン/過渡的トルコ人/よそものと村入り/周縁あるいは境界/通過儀礼のなかの異人}
III 内なる他者・無意識・狂気 {アイデンティティの構造/無気味なもの/影と投射/魂の航海としての狂気/主体喪失の物語}
終章 さらに、物語のかなたへ
原版あとがき
文庫版あとがき
索引