2010年5刷 文庫判 P302 帯付 カバー僅イタミ ページ僅イタミ、数ヶ所にごく薄く鉛筆引き線消し跡(おもに筆圧痕)
“日本人の心の底から出現してきた怨霊、物怪、妖怪たち。「闇」の中で彼らは何を語ろうとするのか。悪霊たちの〈モノ語り〉を通して、日本人の心性=共同体を照射するスリリングな論考”(カバー裏紹介文)
目次:
I 異人の歴史学
異人殺し伝説の生成 民俗社会の歴史創造 {はじめに/伝説の概要/人類学的歴史の生成/「六部の鉦」/事件の分析/シャーマンの役割}
異人殺し伝説の歴史と意味 歴史社会の民俗創造 {巨視的立場からのアプローチ/「異人殺し」伝説の生成/なぜ異人が殺されたのか/異人の聖性の衰退と「異人殺し」/御霊信仰の変質/村落共同体の変質と「異人殺し」の発生/「異人殺し」は「貨幣殺し」である/変貌するフォークロア/解体する村落共同体}
II 支配の始源学
村はちぶをめぐるフォークロア 排除の民俗の事例として {「村はちぶ」の定義/「村はちぶ」の実態/“犯人”排除のシステム/宇宙論的な秩序の乱れ/社会的秩序の乱れ/「排除の民俗学」に向けて}
支配者と御霊信仰 天皇制との関係をめぐって {御霊信仰の本質/民俗社会のなかの「御霊」/平安初期の御霊会/政治権力者と 霊信仰/御霊信仰と近代天皇制}
天皇制以前あるいは支配者の原像 民俗における「天皇」問題 {はじめに/民俗文化のなかの「天皇」/家族国家観成立の民俗的基盤/天皇=現人神信仰の民俗的基盤/「日和見」としての村の配者/「王殺し」からの照射/天皇制以前から天皇制へ}
III 妖怪の伝承学
雨風吹きしほり、雷鳴りはためき…… 妖怪出現の音 {民俗のなかの妖怪/『稲生物怪録』にみる怪音/雷雨と妖怪/鬼の芸能 ―「乱声」と「つけ」}
鬼の太鼓 雷神・龍神・翁のイメージから探る {昔話のなかの雷神のイメージ/中世説話のなかの雷神のイメージ/雷神と雨乞い/鼓・笛の起源/雨乞面の翁・猿楽の翁・大黒舞}
鬼を打つ 節分の鬼上をめぐって {「年かえ」の晩/鬼と福の神と祖霊/「鬼の子小綱」と鬼払い}
江戸の稲荷と狐 江戸市民のトリックスター {江戸の稲荷信仰ブーム/「狐火」と「狐の嫁入り」/狐憑きと祈禱師}
IV 悪霊の人類学
悪霊憑きから悪霊物語へ 憑霊信仰の一側面 {はじめに/託宣が伝説を創る/悪霊憑きと悪霊祓い/狐霊祓いの儀礼/悪霊が語る物語/今後の課題}
悪霊祓いの儀礼、悪霊の物語 憑霊信仰の一断面 {悪霊と憑霊/江戸の悪霊憑き/悪霊祓い儀礼のなかの悪霊物語/密教の悪霊祓いシステム/天狗と護法童子/悪霊退治の物語/悪霊語りと物語絵}
あとがき
文庫版あとがき
解説(内田隆三)