平成10年 A5判 ソフトカバー P270 カバー上端僅イタミ
“人に化け、ときに悪辣に騙し 物の怪の憑き物となって人を恐怖させ、呪法に利用され稲荷神ともなって神格化されてきた「きつね」百態”(宣伝文)
歴史書、仏教説話集、陰陽道文献、文芸、芸能、随筆、奇談集など、さまざまな書物から狐にまつわる奇談・怪異譚・俗信を集め紹介する。
目次:
はじめに
第一章 化ける狐
{狐妖の世界/日本の狐妖の古い記述}
第二章 日本での狐の名
{きつ/きつね/天狐/空狐/白狐/黒狐・玄狐/地狐神・阿紫霊/野狐/あまつきつね/草狐・沙狐・玄狐・火狐・白狐・灰狐・雲狐・豼狐/管狐/伊賀専女/専女/命婦/野干/おさき狐/管狐/九尾狐/御出狐/狐の種類の異名/狐の階級/狐の能力のランク付け}
第三章 狐、人と交わる
{狐が人と交わる話/男が妻を求めて狐を嫁る(1)/狐が詠んだ歌の考証/交婚譚をもとにした『蘆屋道満大内鑑』/『お伽草紙』の「木幡狐」/狐妻の話『女化稲荷縁起』/『女化稲荷月朧夜』を脚色した演劇/狐の嫁に去られた物臭太郎物語/人の嫁になった江戸時代の女狐/女房にすり替わった野狐の話/狐と交わって四つ子を産む/『東鑑』による狐に育てられた子/亡くなった妻に化けて通う/狐と交わった男の後を追って死んだ狐/妻に化けたのを見破られて髪切り狐に変じる/妻に化けて戻り見破られた狐/夫に化けたが見破られた狐/狐と交わった男の陽根が落ちた話/狐と交わった女の陰所が痛む話/男と交わって死んだ純情な女狐/男を誘っておどかされた狐/狐と交わった女は死ぬ/狐と交わって死んだ男/狐と交わり腎虚で死んだ男/玉藻前妖狐伝}
第四章 化け狐
{狐の化け方/杉の大木に化ける/清盛に追われた狐/馬の後ろに乗った狐/浦大夫を騙して義太夫を語らせる/鳥を騙す狐/男に化けて遊女買いする狐/もう一度狐に騙されたいと願う男/狐の宮殿で暮らした男/若い男を迷わす女狐/狐を騙した男/禅問答もできる老狐/正念寺に使える狐/伝通院の伯蔵主狐/人に化けて誠実に仕えた蛻菴狐/人に化けて礼節を尽くす/雄大な源平合戦の模様を現出させる/見物人を前に演技する狐隊の話/数代にわたって人に仕えた狐/狐の手紙(1)/狐の手紙(2)/狐の書(1)/狐の書(2)/狐の書(3)/狐の書(4)/書をよくする狐憑き/号を持つ狐}
第五章 狐は仇をする
{仇をなして家を断絶させる/うらんだ狐の仇うち/狐火で放火できるのか・鶏を盗まれた狐の仕返し/本願寺を焼いた狐の復讐/他人を使って仕返しをする狐/石を投げて仕返しされた馬方/石が傍らに落ちただけで復讐する/狐の子を追散らした男の妻に憑く/狐は死んでもたたる/犬に復讐する/人の心を読む/上前をはねる狐/化け方の下手な狐}
第六章 狐の報恩と贖罪
{館林城築城秘話/報恩のため江戸に来る狐/親狐に孝養を尽くした子狐/飛脚をする狐/東大寺火災を予告する狐/夢枕に立ってわびる/詫びて自殺した狐(1)/詫びて自殺した狐(2)/詫びて自殺した狐(3)/狐が狐を処罰する(1)/狐が狐を処罰する(2)/狐が狐を処罰する(3)}
第七章 狐の玉・狐火・狐の嫁入り
{狐の玉譚/珠玉を返してやった話/狐火の記録/狐火の由来/戦場にともった狐火/馬の骨が燃えて狐火となる/狐火の素材を取り戻した狐/狐は赤いか青いか/狐の吐く息が狐火となる/牛骨もまた狐火となる/狐火問答/王子稲荷の狐火/鮎捕りに来た狐/奥州で狐火の現われた例/狐火の代わりに松明を燃やす稲荷社/狐の嫁入り/公儀の名を偽って旅行する/狐の放火}
第八章 狐憑き
{女官に憑いた狐/女に憑いて食べ物をねだる/分別もある狐/狐遣いは土御門家の支配ではない/第三者に憑いて仇をとる/人に憑く管狐/管狐を利用する行者/オサキ狐は吉兆をもたらす/飯綱明神と荼吉尼天/住み家を壊されて詫びる狐/秀吉、威光をもって退散さす/吉宗、威光をもって退散さす/狐憑きを落とす秘薬/狐憑きの治療法/狐憑き現象の解釈/狐が憑くとは嘘である/狐憑きを落とした自慢話/啓蒙につとめた医師・陶山}
第九章 狐と稲荷
狐は稲荷の神使/稲荷神と稲荷/狐は稲荷使であるか/狐を稲荷神使と見る疑問/稲荷と狐論/稲荷と狐の関係/民衆の稲荷神/稲荷神に仕える狐/野狐は稲荷の神ではない/狐さま、稲荷大明神さま/狐は稲荷神の使い/諏訪湖のおみわたり}
第十章 荼吉尼天
{荼吉尼天と狐の関係/飯綱使いと飯綱呪法}