2008年 四六判 ソフトカバー P243 扉ページ裏側蔵書印
“妖怪・幽霊・UMAのすべてを含みこむ「化け物」という言葉によって、ヤマタノオロチから口裂け女まで、日本に出現した妖しの者の歴史を概観する、日本怪異史入門の書。”(宣伝文)
目次:
まえがき
一章 ヤマタノオロチ
{ヤマタノオロチ―遺物の象徴としての化け物/甕襲の玉―マージナル・アニマル/両面宿儺―王権から生まれる化け物}
二章 カッパ
{ガラッパ―カッパの原型/小子部栖軽―王権の矛盾を引き受けるトリックスター/人魚―予兆としての化け物/貉―政権を正当化する化け物/天狗・天狐―流星としてのデビュー/葬列を見下ろす鬼―歴史的な宿命/『日本書記』―化け物が出てくる正史/人を食う鬼―日本固有の化け物の誕生/宮中の鬼―説明装置としての化け物/アテルイ―鬼門の起源?/将門の首塚―もう一人の天皇の末路/頼豪阿闍梨、鼠に変ずる―仏教と王権}
三章 狐
{狐―国を守り、乱す動物/二つの説話集―化け物譚の原典/ヌエ―退治者の変化/安徳天皇―転生したヤマタノオロチ/鉄人伝説―モンゴルから来た異物}
四章 天狗
{天狗―国際的な化け物/イツマデ―政情の化身/『太平記』の化け物―異形としての遊び/『風姿花伝』―鬼を演じる作法}
五章 鬼
{酒呑童子―「鬼」イメージの定義/『神道集』―インドから来た神々/八百比丘尼―興行としての化け物/火の車―火車、片輪車の原型/付喪神―百鬼夜行の原点}
六章 皿かぞえ
{皿屋敷の誕生―幽霊か妖怪か/肉人―駿府城に現れたET/岩見重太郎の狒々退治―作られた豪傑譚/ジェニー・ハニバー―輸出される化け物/『御伽稗子』―『牡丹灯籠』の原型/お岩失踪―『四谷怪談』のモデル/『桃太郎』の鬼―草双紙の時代/『和漢三才図会』―江戸の偽書/「稲生物怪録」―特異な妖怪物語/『放下筌』―お座敷芸に使われる化け物/雷獣―神性の剥奪/『画図百鬼夜行』―江戸の妖怪図鑑/鬼娘―都市に取り込まれた化け物/化猫遊女―遊郭と化け物}
七章 豆腐小僧
{豆腐小僧―伝承のない化け物/五徳猫―パロディとしての創作化け物/『耳袋』―江戸の奇談集/『夭怪着到牒』―江戸の妖怪認識/光り物の出現―UFO、江戸を飛ぶ?/『心学早染草』―善・悪・心のキャラクター化/うつろ舟―不義を犯した女の漂着/『怪談おそろ史記』―オチのある怪談/カッパの工事―法の抜け道としての化け物/『絵本百物語』―神秘的な化け物像/印旛沼の怪物―化け物に仮託された政道批判/アマビエ、コロリ―託宣と疫病/件―予言する化け物/化猫―鍋島の化猫騒動/上田秋成・平田篤胤―それぞれの神代観と怪談}
八章 狸
{吉原の狸、四国の狸―陽気な化け物/狸の授業―明治の化け物新聞/小泉八雲―ケルトと怪談の邂逅/花電車の桃太郎―侵略主義との関連/江馬務、柳田國男―妖怪研究の始まり/たぬき・むじな事件―分類の問題/『桃太郎の史実』―温羅伝説の真相/『魔人ドラキュラ』―イメージの原点/『阿波狸合戦』―狸映画の系譜/『ゴジラ』―すべての怪獣の代名詞/『ゲゲゲの鬼太郎』―漫画の中の化け物/『デビルマン』―生物学的なディテール/ヒバゴン―「UMA」の誕生}
九章 ツチノコ
{ツチノコ―ブームを巻き起こす蛇/『エクソシスト』―オカルトブームの到来/オリバー君―興行から生まれる化け物/ニューネッシー―化け物の名前を公募/ナンチャッテおじさん―ラジオから生まれた都市伝説/『妖怪学入門』―一九七〇年代の妖怪観}
一〇章 口裂け女
{口裂け女―キャラクターの成長/クトゥルー神話―輸入された邪神たち/宮崎アニメ―化け物イメージの拡大/『消えるヒッチハイカー』―「都市伝説」の誕生/『リング」 ―新しいメディアと化け物/姑獲鳥―妖怪の再生/『ポケットモンスター』―ゲームの中の怪物/カシャンボ―火車の変容/おわりに―未来の化け物}
参考文献