白鳥伝説 谷川健一 集英社

1986年 四六判 P542+索引P21 帯スレ、折れ跡 カバー背ヤケ、折れ跡、少シミ汚れ、上端イタミ 天少シミ汚れ 裏遊び紙ラベル剥がし跡

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1986年 四六判 P542+索引P21 帯スレ、折れ跡 カバー背ヤケ、折れ跡、少シミ汚れ、上端イタミ 天少シミ汚れ 裏遊び紙ラベル剥がし跡

“ヤマト政権成立以前に存在したヒノモトの国。その千年に及ぶ大移動を東国・みちのくに追う。
四世紀初め、邪馬台国が筑紫から大和へと新入したとき、そこにはすでに物部・蝦夷の連合国=ヒノモトがあった。以来ヤマト政権に追われ、東北へと移動するヒノモトの国―東国に散在する“白鳥”の人名・地名に隠された列島先住民の足跡を探り、日本の深層を掘り起こす。”(帯文)

目次:
序章
 {山人研究―柳田国男の初志と転回/蝦夷の中を吹き抜ける縄文の意識の嵐/夷狄の末裔を以って任じる秋田氏の矜持/東北地方にみる白鳥信仰/移動する「白鳥」に秘められた謎}

【第一部】
第一章 ひのもと考
 {『古事記』序文も不詳とした日下の訓みの由来/万葉歌に示された太陽・草香山・難波の相関/太陽の昇る難波、その東の日下/天磐船で空をめぐり地に降ったニギハヤヒ/ヒノモトクサカを背景にもつ日本の国号/中国の史書にみる倭から日本への移行/ヒノモトはクサカからヤマトへ、そして東北へと移動する/蝦夷の棲む陸奥および常陸の日高見国/ヤマト政権の東進に絡むヒノモトの変遷}

第二章 物部氏の東遷
 {東アジア二―四世紀の動向/筑紫平野を制する強大な国/邪馬台国の中心は筑紫三井郡/邪馬台国の領域と重なる物部氏の勢力範囲/物部氏東遷をめぐる諸説の検討/物部=工人の東遷と符合するニギハヤヒの降臨/天磐船に乗って畿内に来た人々/同乗者出自地にみる物部氏の東西交通/ニギハヤヒの系譜/物部氏の痕跡(一)―遠賀川中流の剣神社/物部氏の痕跡(二)―六ヶ岳への宗像三女神の降臨/物部氏の痕跡(三)―人名・地名としてのクラジ}

第三章 邪馬台国の東遷
 {二波にわたる筑紫から大和への移動/倭国内乱に影をおとす魏と呉の緊張/倭国風俗にみる南中国との交流/筑紫より日の本へ主力は東遷する/イリ王朝の大和侵入―二人のハツクニシラススメラミコト/イクメイリヒコ(垂仁)と関わる伊支馬と生駒/物部氏を母系とするイリ王朝の創始者たち/神武東征をはばむ生駒のナガスネヒコ/南方に迂回し、熊野から吉野へ/大和宇陀の水銀鉱山を背景に抵抗する一族/忍坂へ、そして磯城へ/物部・ナガスネヒコ連合軍の敗北/久米郡とエミシとの戦闘/エミシの語義をめぐって/大和の国魂ニギハヤヒを祀る者は誰か/征服地の国魂を祀る二重の宗教構造/ニギハヤヒと妻ミカシキヤヒメの廟社/鍛冶氏族の祀る雷神の系列に連なるニギハヤヒ/もう一つ、鍛冶氏族には鳥の伝承がまつわる/鳥取氏の先祖アメノユカワタナの役割/祖先を白鳥と考える物部氏の意識の流れ/銅剣の柄頭にあしらわれた白鳥の意匠/フツ・フルに辿る物部氏=渡来民族としての出自/ニギハヤヒ=日神を祀る天照御魂神社/銅鐸・銅鏡の製作と物部氏/銅鐸の破却は何を意味するのか/大和における弥生終末期の大変動}

【第二部】
第一章 ヤマト政権の東国進出
 {ヤマトタケルの東進を阻む駿河の賊・国造/駿河の国中・阿倍廬原国に集う蝦夷/相模から房総、常陸へ/近江から東海に勢力を張る物部系国造たち/物部・阿倍氏の密接なつながり/大嘗祭における安倍氏の服属儀礼/異属を組み入れる阿倍氏の系脈/阿倍氏は物部と蝦夷の混血氏族である/降臨説話をもって常陸に勢威を張る物部氏/東国進出への二つの道―東山道と東海道/毛野国における物部氏と蝦夷の痕跡/会津で出会う一族―蝦夷訓致政策の進展/丈部の阿倍臣改姓の微妙な心理/アラエミシとニギエミシ/蝦夷経営の前線に立つ氏族}

第二章 異族の神・ヤマトの神
 {辺境に点在する古四王の神/越王と古四王との交錯/弥彦神と古四王神の関連説/越後・弥彦と秋田・古四王を結ぶ物部氏の足跡/蝦夷鎮圧と鍛冶集団の奥州進出/自然神の貌をもつ東北の神々/鳥海山の大物忌神と月山の月山神/母屋を追われた庇にとどまる神/門客人神・アラハバキの性格/蝦夷をもって蝦夷を制す―荒ぶる神の役割/武神・鹿島香取両神の陸奥進出/地名が語る蝦夷と畿内勢力の消長/物部氏北進の拠点―異族制圧のための神社/陸奥における物部氏の神/岩手県唯一の前方後円墳・角塚と止止井神社}

第三章 奥州安倍氏の血脈
 二つの系図が語る奥州安倍氏の歴史的意識
 第一の謎―安日について {ナガスネヒコの兄安日を始祖として創出した心理/安日・安倍はアイヌ語のアベ(火)に由来する/安倍と阿倍を結ぶ物部氏/柵経営の二重構造/阿倍比羅夫の北征/二戸市とその周辺の蝦夷たち/十世紀後半に安倍氏は奥六郡に勢威を確立する/奥六郡在地の蝦夷と結ぶ鎮守府将軍の物部・安倍氏}
 第二の謎―白鳥八郎について {前九年の役―安倍氏拠点の崩壊/白鳥八郎の伝承/白鳥大明神(刈田嶺神社)を支える白鳥信仰/刈田嶺神社の神階を特進させた西国の事件/鷹と白鳥―大高山神社とは何か}
 第三の謎―常陸白鳥郷について {津軽藤崎へと北上する白鳥伝説/津軽から常陸へ移動する安東氏/『常陸国風土記』白鳥の里の歌と折口信夫の解釈/鳥取造アメノユカワナタは金属精錬に関わる/常陸国白鳥郷にて/常陸の俘囚、神賤、浪人とは何か/二つの白鳥郷を結ぶ移住者の意識の連鎖}
 第四の謎―日下将軍について {李朝に使節を遺した「夷千島王」とは何か/日下将軍・安東尋季は東海の要所津軽十三湊を拠点とする/奥州=ヒノモト説を支える安東氏の河内胆駒への郷愁/つぼのいしぶみ―欧州ヒノモトの意識は平安末にさかのぼる/阿倍臣の北征とオホーツク文化の南下/擦文文化とエゾ社会の重なり/奥州・ヒノモトの中心は北上する}

終章
 {列島を覆う日本国=物部王国と倭国=邪馬台国の重構造/秋田家(安東氏)のエゾユミに見る縄文の伝統/えぞの手振のむかし―理訓許段神社のイナウ/秀衡寄進の仏教を守る岐阜白鳥町の人びと/平泉藤原氏の白山信仰の深部にあるもの/歴史を回帰する意識―聖なる生き物・イルカや白馬/物部と蝦夷と共に北進し回帰する白鳥の里/律令国家の支配意志と蝦夷・隼人の抵抗/東北地方再編成の施策―城柵と移民/“東北”に縄文の意識の連鎖を読み直す/日本歴史の地平の彼方へ}

あとがき
略年表
人名・神名索引
寺社名索引
秋田氏系譜/藤崎系図
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