 
昭和62年 A5判 P253 帯折れ跡 カバー背少ヤケ、上端少イタミ 小口ヤケ、時代シミ
“気鋭の学者グループが“教祖”に着目し、貴重な資料をもとに、“教祖”生成のダイナミクスを浮き彫りにしながら、日本の宗教的伝統の水脈に瑞々しい考察を加える。カリスマ理論をはじめとする従来の西洋の宗教社会学的な分析手法、概念では充分に論証ができないさまざまな問題について、独自の概念、新しい視座を提示。わが国の宗教社会学の今日の水準を示すとともに、鮮やかな里程をしるした。”(帯文)
目次:
まえがき
【第I部 教祖の理論的考察】
第一章 教祖と宗教的指導者崇拝の研究課題(島薗進)
 一 教祖の概念とその問題
 二 指導者崇拝と崇拝される指導者
 三 教祖の形成過程
 四 宗教的指導者崇拝と現代社会
第二章 ヴェーバー社会学におけるカリスマ論の位置(勝又正直)
 一 はじめに
 二 政治社会学におけるカリスマ論
 三 宗教的革新者としてのカリスマ者
 四 呪術師から教祖へ
【第II部 教祖とその信仰体験】
第一章 自己受容化とカリスマの成熟―円応教教祖深田千代子の場合―(磯岡哲也)
 一 本稿の目的と若干の理論的枠組み
 二 神憑り
 三 自他否定と弟子たち
 四 自己受容化への道―遍歴と修行
 五 むすび
第二章 現代新宗教におけるカリスマ―高橋信次とGLAに関する一考察―(沼田健哉)
 一 はじめに
 二 高橋信次の生涯とGLAの歴史
 三 GLAの教義
 四 高橋信次の教義上の位置づけとその宗教的活動/五 むすびに代えて
第三章 救済体験と宗教的権威の形成―ウェスレーとメソディズムの場合―(山中弘)
 一 はじめに
 二 問題の所在と視点
 三 ウェスレーと救済体験
 四 野外説教
 五 按手礼の問題
 六 結び
【第III部 教祖と教祖をめぐる集団】
第一章 分派教団における教祖の形成過程―妙智會教団の場合―
 一 はじめに
 二 分派の正統性の主張とその変遷
 三 教団アイデンティティの模索と「教祖」化過程
 四 むすび
第二章 教其ドラマトゥルギー―カリスマの制度化と継承―(川村邦光)
 一 シャマン/明治天皇の死
 二 教祖化過程の展開
 三 教祖カリスマの継承
第三章 信者の意識から見た仏教運動の創始者―大日本仏教済世軍と真田増丸―(藤井健志)
 一 はじめに
 二 真田増丸と仏教済世軍
 三 仏教集団の三つのタイプ
 四 仏教済世軍の形成
 五 真田増丸像の形成
 六 まとめ
【第IV部 教祖とその時代】
第一章 蒙古来襲期における仏教系新宗教運動とその教祖達―叡尊、忍性、日蓮、一遍―(笠井正弘)
 一 問題の所在
 二 院政期から南北朝期における宗教状況の概観
 三 真言律宗、法華宗、時宗の宗教性について
 四 結び
第二章 中世の宗教運動とその創始者―特に伊勢神道発生に留意して―(白山芳太郎)
 一 はじめに
 二 中世宗教運動の背景
 三 鎌倉時代の新しい宗教運動
 四 伊勢神道とその創始者
 五 伊勢神道成立の要因
 六 おわりに
第三章 専修念仏宗における指導者像の変容―『選択集』製作を通してみた―
 一 はじめに
 二 『選択集』の製作
 三 『選択集』の構成と文体
 四 共同体としての吉水坊舎
 五 指導者像の変容
文献解題