2001年初版、2003年初版　四六判　P343、482　各巻カバー僅ヤケ、上端僅イタミ　近世・近代篇カバー上角少破れ

【古代・中世篇】
“日本人にとって狐は古代から身近な動物だった。その狐が霊力をもち、やがては狐信仰、あるいは狐付きといった日本社会に特有の伝承となって定着していく。古代から戦国時代までの文献を渉猟し、日本人の狐観念とその変遷を跡づける。”（カバー紹介文）

目次：
凡例
第一章　古代の狐観念
　八・九世紀の狐／一〇・一一世紀の狐／『今昔物語』の時代／中国の類話／要約と結論

第二章　六字経法と狐
　六字経法の始まり／三類形の意味／目的の拡散

第三章　和様ダキニ天の誕生
　インド・中国・日本のダキニ／エンマ天曼荼羅におけるダキニ／弁才天像の変化／弁才天とダキニ天／弁才天―蛇―狐―ダキニ天／要約と結論

第四章　辰狐の登場
　ダキニ天法の世間的認識／ダキニ天と狐／辰狐の意味／辰狐と稲荷／要約と結論

第五章　藤原氏の恩恵者
　藤原氏と狐・稲荷／藤原氏と東国

第六章　室町時代支配階級の狐付き
　狐付き事件の総覧／足利義持狐付き事件／事件に弄ばれた人びと／一五世紀前半の六字経法

第七章　桂地蔵事件と中世衆庶信仰
　事件の記録と伝承／桂地蔵と狐付き

第八章　鳥羽上皇の寵妾
　玉藻前伝承の内容／伝承構成話柄の分析／仏舎利と針／宇治の宝蔵とうつぼ舟／結論

第九章　安倍晴明の母
　陰陽書と狐／常陸から和泉へ／近世における修飾

第一〇章　戦国武将と狐
　館林城の狐／長壁神と狐／信玄・謙信・秀吉／要約と結論

文献（明治以後）
古代・中世・近世文献の出所
あとがき

【近世・近代篇】
“近世の日本人は稲荷に何を願い、期待するようになっていったのだろうか。狐の霊力や、狐付き、狐信仰といった日本社会に特有の伝承が、開発の進む都市や農村に受け入れられていく過程を、各地の稲荷社や伝承の地を訪ね、文献を渉猟して検証。”（カバー紹介文）

目次：
凡例
第一部　狐と寺社ところどころ
　第一章　玉藻稲荷と女化稲荷／第二章　葛の葉稲荷その他／第三章　源九郎稲荷／第四章　長壁神社の狐／第五章　物ぐさ太郎と狐女房／第六章　狐狸の僧侶たち

第二部　江戸の稲荷
　第一章　江戸の稲荷の起源と繁盛／第二章　江戸の狐稲荷／第三章　瘡病・狐・稲荷／第四章　火防と稲荷／第五章　下町における稲荷社の増殖／付論　農村地帯の稲荷と狐

第三部　狐付きと狐落とし
　第一章　狐付きの型と仕組み／第二章　狐落としの方法／第三章　狐の細分類と意味範囲の拡張／第四章　狐持ち筋成立の時期／第五章　狐持ち筋成立をめぐる諸問題／第六章　近世狐付き論史

大正期以後の文献
古代〜明治期文献の出所および索引
人名索引
あとがき