1993年 四六判 P215 天少イタミ、僅汚れ 地にB印
第一章 河童の魅力
河童はとても義理がたい {約束のしるしは一本の石棒/信義に命をかけた哀切な話/ひどい仕打ちを許す寛容さ/船を守ってくれる足音/恩がえしには鮒二匹}
相撲の好きな河童たち {相撲に勝つ秘策/上の河童に加勢した爺さん}
河童に好かれた女 {河童淵に消えた娘/女の尻をなでて失敗する/河童の子を生むと……}
暴れ者の女親分 {ねねこ河伯のかわいい土偶}
第二章 河童の好きな物
大好物は人間の尻こ玉 {尻こ玉をとった河童は……/河童の文づかい/左字を読んで命びろい/紫の尻が好きなのは子ども好きのしるし?/青黒い尻はきらい/捨てられた人形たちは人の尻を食う/なぜ尻こ玉をほしがるのか}
ウリとあんころ餅 {ウリは水銀の象徴/泥まみれ姿のあんころ餅}
河童のにがてな物 {河童撃退の武器はヒョウタン・ヘチマ/河童を防ぐ智恵/なぜ火をきらうのか}
第三章 これが河童の正体だ
河童の姿 {なぜ河童は子どものような姿をしているのか/尻尾の長い河童のたたり/河童の手は自由自在に動く/河童の形態を描いてみると/平頭ハニワは河童の姿か}
猿と亀と水神と {猿こうは河童/水神信仰は水への感謝}
座敷童子は河童か {遠野の座敷童子は家に住みつく/下閉伊郡の座敷童子は家と川を行ったり来たり}
河童はどこからやってきたか {「九千坊」は黄河から/呉の国から「デーライター」}
文献にあらわれた河童 {ニホンカワウソが原型/にくめない河童は妖怪近代化のスター}
第四章 河童に似た妖怪たち
アイヌの伝承 {歌謡「カワウソと狐」/唱え言葉は「カッパ レウレウ カッパ」/人間のはらわたを食う化け物/ミンツチは子どもの姿}
奄美のケンムン話 {ケンムンは人間から/ケンムンはわら人形から/ケンムンは殺された嫁の魂}
沖縄のキジムナー {愛嬌のあるいたずら妖怪}
世界各地のよく似た妖怪 {ドゥエンデ、ディルガディン(スペイン)/ヴォジャノイ(北方ロシア)/毛むくじゃら(ミシシッピー・アラバマ)/サシペレレ(ブラジル)/魍魎・水虎・水《虫へん+慍の右側》}
第五章 河童の系統を呼び名に探る
呼び名を分類すると
呼び名の特徴 {多いもの/注目したい亀・スッポン/カワウソ・天狗も相撲好き/鳴き声は「ヒョウヒョウ」}
第六章 河童からの贈りもの
河童の妙薬は効能あらたか {江戸の関取にも評判の下総十三枚正膏薬/屋号は「かっぱ」の家のとげぬきの薬/万応膏は家庭常備薬/川童膏は今も売られている/河童柳の葉は家伝薬/膏薬のお礼に地蔵さま}
河童のくれた壺や焼き物 {使ってもなくならない銭の入った壺/今も家宝の河童の杯/せせらぎの音が聞こえてくる壺/飲んでも尽きない徳利/今戸焼の「かっぱ人形」}
今も残る河童の手 {指五本の手のミイラ/天草の寺にも水かきがある手のミイラ/北上にあるのは手形とアバラ骨/爪跡が残る証文石/血で書いた詫び証文}
第七章 河童由来の社寺・行事
河童を祀る寺 {皿を乗せた招福河童の墓石/手接大明神には雨乞いをする/水天宮と河童の縁/水虎大明神の守り札/ピエロ河童は水神の使者?}
身近に祀られる河童たち {河童淵には乳首の縫いぐるみ/魚の御札の河童塚/水難除けの河童地蔵/伊万里に伝わる河伯のミイラ/珍しいカワウソの碑}
第八章 河童は実在する!?
わたしが見た河童 {子どもの時出会ったものは/遠野へ河童探索に/河童よ再び出ておいで}
いろいろな人が見た河童 {浮きあがる龍宮城/対島の河童騒動/川施餓鬼と河童への畏怖/遠野の体験談二話/高尾山にいた河童/イタイイタイ病を警告した河童}
付章 現代の河童人間大集合
河童に魅せられた人々 {銚子の河童市長/船橋の河童市長と漫画家・牧野圭一/河童画伯・岩崎巴人/仙境の画人・芋銭と芋銭コレクター/庄内平野のミニ河童}
河童を楽しむ町 {華やかに房総かっぱ祭/水車の前に河童がいる公演/牛久のかっぱ祭は市民総出/古牧温泉の日本かっぱ龍神祭/河童に招かれる絵かきさん/河童界は結婚式ブーム/色麻はカッペイ君で町おこし/定山渓温泉にはメルヘン河童/鎌倉のかっぱ筆塚まつり/かっぱ橋道具街/遠野はどこもかしこも河童づくし/「かっぱ村全国地図」}
あとがき―河童からのメッセージ