1997年新装版1刷 四六判 P214 カバーおよび小口少汚れ
“近代化との相克のなかであぶりだされた「血税一揆」「トラホーム」「狐憑き」「座敷牢」などさまざまな「事件」に投影された民衆の心性・コスモロジーの変容と、国家による「死の共同体」へと統合されていく過程を透視する転換期の精神史。”(カバー紹介文)
目次:
はじめに―厄災の「民俗」あるいは歴史の記憶から出立
【I 〈迷信〉と感情教育】
1 「血税一揆」の民俗的心性 {「血取り」「膏取り」の流言/「血税一揆」の生成/「血取り」のフォークロア/〈異人〉のフォークロア/〈異人〉の再生}
2 トラホームと感情教育 {文明開化と〈迷信〉/〈迷信〉のあぶりだし/病いと衛生/トラホームの出現/「迷信を避けよ」/感情教育への水路}
【II 狐憑きから「脳病」「神経病」へ】
1 狐憑きの民俗 {狐憑きの報道/近世の狐憑き論/生活世界での狐憑き/民俗治療と処遇}
2 精神医学の狐憑きへの視線 {狐憑きのフィールドワーク/ベルツの狐憑き論/呉修三の狐憑き論/門脇真枝の狐憑き論}
3 「脳病」「神経病」のイデオロギー {「脳病」「神経病」の来歴と流布/感覚・知覚の変容/「脳病」「神経病」薬の効能/「脳病」「神経病」の通俗化/イコン}
【III 座敷牢と幻視する霊魂】
1 座敷牢の生産 {相馬事件と「精神病者監護法」/座敷牢の実態/座敷牢のフォークロア}
2 狐憑きから妄想へ {狐憑きの試練/「芦原将軍」の闘争/「妄想」考/パロディスト「芦原帝」}
3 出口なおの近代/日常性批判 {霊魂の覚醒/死と再生の空間/世の立替え/みたまの立替え/水晶のみたま/メディアとしての自己組織化}
【IV 近代日本と霊魂の行方】
1 位牌の漂泊 {「家殺し」の時代/祖先教の登場/先祖の再発見}
2 霊魂の近代 {日露戦争と心の交通/遊離魂の前線への逃亡/靖国教の霊魂管理/忠魂祭祀と人神思想/霊魂の記号化/先祖供養と民衆救済/死者との共存-共闘}
あとがき