昭和61年 A5判 P317 帯背僅折れ跡 函口僅折れ跡 本体元パラ付 小口少汚れ
昭和61年 A5判 P317 帯背僅折れ跡 函口僅折れ跡 本体元パラ付 小口少汚れ
“風を捕え影を逐い、蝶を夢みた透谷の詩と思想を、エロス的水脈のなかにさぐる問題提起の書。
■北村透谷の未完の悲劇性が、未完のままで私たちを撃つことをあらためて考えさせてくれる。(亀井秀雄)
■驚くべき執念をもって近世文学からの逆照射を試み、従来の透谷研究にゆさぶりをかける本(紅野敏郎)”(帯文)
目次:
序言
I 宇宙的情念と地底的情念
(1)宇宙的情念の系譜/(2)地底的情念と牢獄意識
II 最下流からの視点
(1)「亡友反古帖」について/(2)恋愛書簡について/(3)思想的体験の絶嶺への越境と民衆の原質/(4)喜劇的精神と「冥暗の勢源の握攫」
III 『蓬莱曲』
(1)『蓬莱曲』の基本構造/(2)仙姫と露姫・素雄の悲死と再生
IV 「風流」論と「三日幻境」
V エロスの構造
(1)「厭世詩家と女性」・肉愛の昇華・元禄文学と「粋」/(2)「徳川氏時代の平民的思想」と至粋の観念・透谷と老荘思想・カーライルとの関係・「魔」とエロスの問題
VI 恋愛から悲恋へ
(1)「悲恋」の発生と冥交契合論・「我牢獄」「宿魂鏡」/(2)過程の亀裂・情死情熱論・「哀詞序」と蝶三詩・詩人の役割と宇宙的情念
あとがき