2014年初版　Ａ５判　P161 ソフトカバー　奥付ページ上端僅剥がれ

文芸や芝居に登場する幽霊や、各地に伝わる民俗的妖怪、中世近世に描かれた化け物、鬼、天狗、河童などをとりあげ、100点以上のカラー図版とともに、その概要、時代的・信仰的な背景、関連する伝承・文献といった解説を付す。

目次：
序文
幽霊絵に込められた無念の叫び

第１章　怪談〜幽霊たちの正体〜　間引き、身売り……貧しき農村社会が生んだ悲劇―！
　累ヶ淵　実在した怨霊事件と悪霊祓い　禍々しい二重殺人の秘密とは？
　皿屋敷　理不尽に殺された下女の霊はなぜ死んでも皿を数えるのか？
　四谷怪談　欲に目が眩んだ男を死霊の怨念が追い詰める
　牡丹灯籠　夜毎現われる美しい女の霊　男を虜にする魅惑の妖力

第２章　怪奇〜妖怪たちの正体〜　宗教神事、芸能、異能技術……大和朝廷に抵抗した勢力が―！？
　鬼と人　歴史に散見する数々の“鬼”　彼らは一体何者だったのか？
　天狗と神隠し　山中の怪異、山伏、宇宙人……　鼻の高さはいったい何の象徴なのか？
　河童と不良少年　全国各地に記録の残る目撃情報　河童は本当に実在したのか？
　山姥と姥捨て　人喰い、子育て、富をもたらす者……　全国に分布し多面性を持った老女の正体
　狐狸鼬と児童虐待　狐七化け、狸八化け、貂九化け　人に憑き人を狂わせる動物霊たちの怪異
　産女と産褥死　女性の死因の４分の１以上が難産……無念の想いが生み出した妖怪変化

第３章　境界〜異界の正体〜　枕、厠、辻、橋……日常の境界に妖怪は潜む―！？
　枕返し　夢の世界は異世界への入り口
　化物屋敷　“あかずの間”伝説と“人柱”
　厠の恐怖　トイレにはやはり神様がいる？
　辻の怪異　“この世”と“あの世”の境界
　橋と憑依　渡し橋は危険な境界！？
　村境と異人　“向こう側の住人”は生贄！？
　百鬼夜行　境界に捨てられたモノたちが妖怪化！
　稲生物怪録　30日間、怪奇現象と戦った男の記録

第４章　化物図録〜恐怖の形象〜　怪音、暗闇、畏怖、小心……　人々の恐怖が妖怪を誕生させた―！？
　小豆洗い　真夜中の水辺に響き不気味な怪音
　ろくろ首　遊女の化け物か、それとも奇病！？
　見越入道　愚かな臆病者が見る目の錯覚！？
　髪切り　都市部を騒がせた通り魔的“怪異”
　土蜘蛛　先住民族への蔑称が妖怪変化した？
　赤口　迷信に迷信を重ねて誕生した妖怪！？
　目一つ坊　赤色を嫌う疱瘡神の俗信との習合！？
　ぬらりひょん　情報の錯綜が生んだ謎すぎる妖怪
　山彦　ただの反響現象ではない！？
　ふらり火　戦国武将・佐々成政も呪われた！？
　猫又　猫のタタリが最も怖い？
　窮奇　いまだに説明がつかない怪現象
　海坊主　正体は巨大なクジラ？
　ぬっぺふほふ　不老不死になれる肉の塊！？
　狂骨　境界から現われる妖怪
　倩兮女　笑われるという恐怖

巻末特集１　人の性質から生まれし妖怪たち
　寝肥、にがわらい、いそがし、どうもこうも、白うかり、五体面、胴面、じゅうじゅう坊、覗き坊、後目、手目坊主
巻末特集２　怪談名作劇場　『桜の森の満開の下』（坂口安吾）

もののけこらむ
　幽霊と妖怪は違うのか？
　妖怪たちはいくつもの顔を持つ？
　辻で起こった事故は産女の呪い？
　正体不明の妖怪はたくさんいる？
妖怪画の名品〜絵師たちが見た怪異の正体〜
　『百物語　お岩さん』／『相馬の古内裏』／『百物語　笑ひはんにゃ』『百種怪談妖物双六』