1997年初版 四六判 P179 カバー少汚れ、上下端少イタミ、内側テープ跡 小口僅汚れ
1997年初版 四六判 P179 カバー少汚れ、上下端少イタミ、内側テープ跡 小口僅汚れ
“明治20年代に心霊術・催眠術とともに一大ブームを巻き起こした“記憶術”。卓越した記憶力への欲望を煽情した仕掛け人たちとその背景としての日本近代を解読する。”(カバー紹介文)
明治期に提唱された様々な“記憶術”の言説を検証しつつ、それらが受容された背景にある人々の「脳」「内面」への関心、同時期に話題となった催眠術・千里眼実験などの現象としての関連、「立身出世」というイデオロギーと結びついて喧伝された過程などを辿る。
目次:
はじめに―〈近代〉という歴史の「おもちゃ箱」のために:
第一章 和田守記憶法とその反響
和田守菊次郎の登場/和田守菊次郎の記憶術/和田守菊次郎と糸平事件/〈ひったくり〉と「三百代言」/田中平八と吹田勘十郎/記憶術にかけた人生
第二章 記憶術の流行―明治二十年代を中心に
暗誦できぬほど増えた記憶術/「ハードな」記憶術/「ソフトな」記憶術/記憶術のなかの「故郷」/東の和田守、西の島田
第三章 「内面の発見」と記憶術
「ハードな」記憶術と脳の「発見」/神は頭蓋骨に宿る―骨相学の誕生/解剖する文学/内面への旅―心理学の導入/殺されたもののゆくえ/催眠術ブーム/「動物磁気」から催眠術へ/〈術〉のエコノミー/千里眼ブーム
第四章 立身出世と記憶術
螺旋状の誘惑/競争社会へのプレリュード/『西国立志編』と『学問ノススメ』の反響/「受験生」の誕生/「アメとムチ」のシステム/加熱化する試験/一斉授業と教室空間の変容/「問答法」という名の記憶術/オブジェクト・レッスンの受容と変貌/教員養成という課題/マニュアル化された教育実践
おわりに―記憶術のなかの〈近代〉
あとがき